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ストレスチェックを実施しない場合の罰則はあるの?

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ストレスチェックを実施しない場合の罰則はあるの?

(更新:

2015年12月からスタートしたストレスチェック制度。しかし、一部の企業ではストレスチェックを実施していない事実が判明しました。実施義務があるにも関わらず、未実施だった場合、罰則はあるのでしょうか?

 

今回は、ストレスチェック未実施の場合の罰則と、関連する安全配慮義務違反について解説します。

 

ストレスチェックの実施義務

 

2015年12月1日から義務化がスタートした、ストレスチェック制度。常時使用する労働者が50人以上の事業場では、ストレスチェックの実施が義務づけられています。(労働安全衛生法66条の10)。

 

事業場」とは、工場、事務所、店舗など、同じ場所で相関連する組織的な作業をできる場所の単位のことす。同じ会社であっても、支店、支社、店舗ごとに1事業場となります。

 

常時使用する労働者」とは、その雇用形態にかかわらず、契約社員、パート、アルバイト等を含めて、常態として使用する労働者の数を指します。詳しくは、「2つの規定がある!?ストレスチェックの対象となる「労働者」」で解説しているので、そちらもご覧ください。

 

まだまだ多い、ストレスチェックの未実施率

 

2017年7月、厚生労働省は施行後初めて「ストレスチェックの実施状況」の調査をまとめて公表しました。調査によると、「ストレスチェックの実施報告書の提出があった事業場の割合」は合計で82.9%という結果が出ています。

 

一見、数値は高いように見えますが、残りの17.1%の事業場は義務化されているにも関わらず、ストレスチェックを実施していない可能性があります。また、事業規模別に割合を見ると、50~99 人の事業場では78.9%、 100~299 人86.0%、 300~999 人が93.0%、1000 人以上が99.5% と報告されており、事業場の規模が小さくなるほどストレスチェックの実施報告書の未提出率が高くなっています。

 

未実施の事業場には、何か罰則が課されるのでしょうか?

 

実はストレスチェックは、実施しないことによる直接の罰則はありませんが、労基署へ報告を怠ると罰則が課せられることになります

 

ストレスチェック未実施の罰則金は最大50万円

 

ストレスチェックを実施したものの、報告を行っていない事業場は労働安全衛生法により、下記の罰則が定められています。

 

次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。

 

五  第百条第一項又は第三項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は出頭しなかつた者

引用元:労働安全衛生法 第120条

 

50人以上の事業場において、ストレスチェック実施後の報告を行わなかった場合は最大で50万円の罰則金の支払い義務が課せられます。

 

ストレスチェックを実施した後は、速やかに労働基準監督署まで報告書を提出してください。

 

なお、平成29年(2017年)の改正により、「50人未満の事業場にもストレスチェック実施の努力義務がある」と発表されましたが、現時点では報告の義務はありません。

 

しかし、近年のメンタルヘルスの現状を鑑みると、50人未満の事業場にも報告の義務が課せられるのは時間の問題と考えられます。そのため、報告義務はなくても、現時点からストレスチェックの実施から集団分析、高ストレス者面接指導、労基署への報告までを義務化されるまでにノウハウを把握しておくとよいでしょう。

 

ちなみに、50人未満の事業場に対してはストレスチェックの助成金制度があります。ストレスチェック助成金に関する記事を参考にしてみてください。

 

罰金だけじゃない!安全配慮義務違反にあたることも

 

ストレスチェックを実施しない事による罰則は、罰金だけではありません。そもそも事業場には、従業員が安全で健康に働けるよう配慮する「安全配慮義務」があります。

 

平成20年(2008年)に施行された労働契約法第5条では、「安全配慮義務」を下記のように明記しています。

 

使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

引用元:労働契約法

 

つまり、企業は労働者に対して安全配慮義務を負っており、ストレスチェックの実施は、安全配慮義務義務の履行の一環であるという側面があると考えられます。

 

そのため、ストレスチェックの実施義務がある企業がストレスチェックを実施しない場合には、労働安全衛生法違反での罰則にあたるだけでなく、労働契約法も違反にもなり得ることに留意しましょう。

 

ストレスチェック結果の報告書を忘れずに

 

では、ストレスチェック結果の報告書はいつまでに提出すればよいのでしょうか?実は、報告書の提出期限は、明文化されていません。

 

労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル」には、報告書の提出時期は、各事業場における事業年度の終了後など、事業場ごとに設定して差し支えない、と書かれています。ストレスチェック自体は1年に1回の実施が義務付けられていますので、それ以後に忘れずに提出しましょう。

 

ストレスチェック結果の報告書は、厚生労働省のWebサイトからダウンロードできます。
>> 心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書

 

報告書の書き方で迷う方が多いのが、産業医の署名捺印欄です。ここに署名捺印するのは、会社の産業医になります。ストレスチェックの実施者や、面接指導医として外部委託した産業医は、この欄に署名捺印することはできませんのでご注意ください。

 

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