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ストレスチェックとは?実施の流れや義務化の背景を簡単に解説

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ストレスチェックとは?実施の流れや義務化の背景を簡単に解説

サンポナビ編集部

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現代の職場環境において、労働者の抱えるストレスは深刻な課題となっており、ストレスチェック制度は、安全配慮義務の遂行や生産性向上を図るという視点から経営上も重要な取り組むべき課題となっています。

 

しかしながら、個人情報の厳格な取り扱いなど、実務担当者が留意すべき専門的なプロセスが数多く存在します。

 

「はじめてストレスチェックの実施を任されて困っている」

「そもそも自社にストレスチェックの義務があるのか分からない」

 

このようにお悩みの人事労務担当者に向けて、ストレスチェックを実施する目的や義務、実施の流れを解説します。

 

 

\ストレスチェックの委託はCo-Labo/

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監修:舘野 聡子(公認心理士・特定社会保険労務士・シニア産業カウンセラー・メンタルヘルス法務主任者)

ストレスチェックとは?

 

 

ストレスチェックとは、労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査です。

 

常時使用する労働者が50人以上の事業場は、1年以内ごとに1回ストレスチェックを実施することが2015年12月より義務づけられました(労働安全衛生法 第66条の10)。

 

2025年5月に労働安全衛生法が改正され、2028年5月までには50人未満の事業場もストレスチェックの実施が義務化されることが決まっています。

 

つまり、将来的には全ての事業場が、従業員規模を問わずストレスチェックを実施しなくてはいけません。

 

ストレスチェックの目的

 

ストレスチェックの目的は労働者自身のストレスへの気づきを促し、メンタルヘルス不調を未然に防止(一次予防)することです。

 

また、企業が労働者のストレス状態を把握し、高ストレス者面談や職場環境改善など適切な措置を取ることも求められます。

 

ストレスチェック義務化の背景

 

仕事や職業生活にストレスを感じる労働者が6割を越える状況や、精神障害等による労災補償が年々増加傾向にある背景を踏まえ、2006年にメンタルヘルス指針(労働者の心の健康の保持増進のための指針)が策定されました。

 

しかし、指針の策定後も精神障害などによる労災件数が増加の一途をたどっていました。そこで、労働安全衛生法の一部が改正され、2015年よりストレスチェックが義務化されました。

 

メンタルヘルス対策(心の健康確保対策)に関する施策の概要(こころの耳(厚生労働省))を編集して作成

 

ストレスチェックの実施体制

 

オフィスで働くビジネスパーソン

 

ストレスチェックの実施にあたり、実施者、実施事務従事者、実務担当者の選任が必要です。

 

選任時の注意点として、ストレスチェックの結果が人事上の不利益な取扱いに利用されないために、人事権を持つ人ストレスチェックの結果を知る人を分離させる必要があります。

 

つまり、人事権のある人は実施者および実施事務従事者になることができません

 

 

<実施者>

選任要件 ・医師(事業場内の産業医が望ましい)
・保健師
・歯科医師 ※
・看護師 ※
・精神保健福祉士 ※
・公認心理士 ※
業務内容 ストレスチェックの実施(企画、結果の評価など)
ストレスチェック結果 取り扱う
事権 あってはならない

 

※厚生労働大臣が定める研修の修了者 (ただし2015年11月30日時点で、労働者の健康管理業務に3年以上従事した経験がある看護師、精神保健福祉士は研修の受講が免除される

 

 

<実施事務従事者>

選任要件 人事権のない労働者
業務内容 実施者の補助業務(調査票の改修、データ入力など)
ストレスチェック結果 取り扱う
人事権 あってはならない

 

 

<実務担当者>

選任要件 ・衛生管理者
・事業場内メンタルヘルス推進担当者 など
業務内容 ・実施計画の策定
・実施の管理
・実施者またはストレスチェック委託先の外部機関との連絡調整 など
ストレスチェック結果 取り扱わない
人事権 あってもよい

 

 

共同実施者・実施代表者

事業場の産業医に加え、外部のクリニックの医師など、複数の専門家が実施者として関わる場合には、共同実施者および実施代表者をストレスチェック実施規程などに明示します。

この場合、事業場の状況をよく理解している産業医を実施代表者にすることが推奨されています。

 

また、外部機関にストレスチェックを委託する場合にも、「誰が何をするか」を明確にしなくてはなりません。

 

ストレスチェックの実施に関して全てを委託する場合には、委託先の「実施者」「共同実施者および実施代表者」「実施事務従事者」を明示します。

 

集計業務など補助的な業務のみを委託する場合には、委託先の「実施事務従事者」の名前を明示しましょう。

 

労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル(厚生労働省労働基準局安全衛生部 労働衛生課産業保健支援室)を編集して作成

 

ストレスチェック実施の流れ

 

①実施前の準備

事業者による方針表明

 

事業者は事業場全体に対してストレスチェックの実施を表明します。

 

ストレスチェック制度を実効性のあるものとするためには、従業員が安心して受検ができるよう、ストレスチェックの目的を理解してもらい、「検査結果が不利益な扱いに利用されるのではないか」という不安を排除する必要があります。

個人情報の適切な管理と、不利益な取扱いの防止について十分に説明しなければなりません。

 

衛生委員会での調査審議

 

衛生委員会などの合議の場で、具体的な実施方法について以下の内容を決定します。

 

・実施体制 

・実施時期、頻度

・調査票及びその媒体

・高ストレス者の判定基準

・面接指導を行う医師と申出先

・集団分析の方法

・結果の保存方法や担当者 など 

 

合議決定した事項を「ストレスチェック規程」など社内規程として明文化し、従業員に周知します。ストレスチェック規程は、厚生労働省の「ストレスチェック制度実施規程(例)」を参考にして作成するとよいでしょう。

 

なお、ストレスチェックの受検対象者については下記の記事をご参考ください。

 

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②ストレスチェックの実施

ストレスチェックの調査票

 

実施時期になったら、調査票の用紙を配布して回答を記入してもらいます。社内のイントラネットなどを用いて、web上で回答してもらうことも可能です。

 

ストレスチェックの調査票は、法令で規定されたものはないため、衛生委員会の調査審議を経て、事業者が決定します。

 

ただし、調査票には以下の3つの領域が含まれている必要があります。

 

・仕事のストレスの原因

・心身のストレス反応

・周囲のサポート

 

厚生労働省は「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」の利用を推奨しています。

 

 

個人結果の通知

 

ストレスチェックを実施したら、結果の出力後、速やかに検査結果が従業員に通知されるようにしなければなりません。

 

結果通知とともに、セルフケアのためのアドバイスや、面接指導対象者には面接指導の申し出方法や窓口を記載することが望ましいとされています。

 

なお、ストレスチェックの個人結果は、受検者本人の同意なく事業者に知らせてはなりません。事業者に提供する結果の範囲をあらかじめ衛生委員会などで決定し、個別に同意の有無を確認しましょう。

 

 

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③高ストレス者の面接指導

面接指導対象者の選定と実施

 

ストレスチェックの結果、会社(衛生委員会等)があらかじめ定めた判定基準により『高ストレス者』と選定され、かつ、実施者が「面接指導を受ける必要がある」と判断した人が、高ストレス者の面接指導の対象となります。

 

対象となる従業員から面接指導の申出があった場合、遅滞なく面接指導を実施しなければなりません(労働安全衛生規則第52条の16)。

申出があってから1か月以内に、就業時間中に実施しましょう。

 

面接指導は事業場の状況をよく知る産業医が行うことが望ましいとされています。

従業員の勤務状況や心理的負担の程度、心身の状態を確認し、必要に応じてセルフケアの情報の提供、受診勧奨も行います。

 

面接指導の実施後は、1か月以内に医師から就業上の配慮の要否について、意見を聴取します。

事業者は、医師の意見を踏まえて適切な措置を行います。

 

 

面接指導は強制できない

 

面接指導は、企業側から強制できず、受けるかどうかは従業員本人の意思によります。

しかし、面接指導が必要であるにもかかわらず放置し、後に労災が発生した場合には責任を追及される恐れもあります。

 

そのため、なるべく面接指導を受けるよう、対象の従業員に申出の勧奨を行いましょう。

申出の勧奨は原則的に実施者、もしくは実施事務従事者のみが可能です。

 

また、勧奨だけでなく、面接指導を申し出やすい環境づくりも必要です。

例えば、業務を調整して面接指導の時間を確保したり、面接指導により不当な扱いをされないことを丁寧に周知しましょう。

 

 

④集団分析と職場環境改善

ストレスチェックの結果から、職場環境改善を目的とした集団分析を行います。集団分析は努力義務であり、必須ではありません。

しかし、メンタルヘルス不調の予防のため、職場の健康リスクを抽出し、ストレス原因を取り除くために有効な方法です。

 

ストレスチェックの結果を部署ごとに集計し、以下のような2つの判定図を用いて健康リスクを判断します。

 

「職業性ストレス簡易調査票」に基づく「仕事のストレス判定図」による集団分析例※全国平均と職場ごとの平均を比較して、問題の有無を把握

 

出典:「ストレスチェック導入ガイド」(厚生労働省)

 

左図は「量-コントロール判定図」で、仕事の量的負荷とコントロール度(裁量性)のバランスを判定するものです。

与えられる仕事量に対して、どれほど自由度があるかがわかり、量的負荷が大きくコントロール度が低い場合に高ストレスとされます。

 

 

右図は「職場の支援判定図」で、上司や同僚からのサポートを評価するものです。

双方ともに低い状態だと高ストレスと判断されます。

 

 

2つの判定図を用いて、部署単位で傾向を把握することで職場環境改善につなげられます。

例えば、仕事のコントロール度が低い部署の場合、メンバーに裁量性を持たせるなど、業務プロセスの改善をはかります。

 

 

集団分析結果は、受検者の同意なしに実施者から企業側へ通知できます。

 

ただし、集計人数が10人未満の場合は、個人が特定される可能性があることから、事業者への結果提供について受検者の同意が必要です。

あるいは、個人が特定されるおそれのない方法で分析を行いましょう。

 

 

⑤労働基準監督署への報告

ストレスチェックの結果は、毎年所管の労働基準監督署への報告が義務付けられています。ストレスチェック実施後は、所定の様式の「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告」に沿って報告書を作成し、遅滞なく提出することが必要です。

 

ストレスチェック結果の労働基準監督署への報告を怠ると、最大で50万円の罰金が課せられる可能性があります(労働安全衛生法120条)。忘れずに提出しましょう。

 

⑥個人結果の保存

ストレスチェックの結果は、情報保護の観点から、適切に保管する必要があります。

誰が結果を保存するかは、「事業者への個人結果の提供について、受検者本人の同意の有無」により異なるため、注意しましょう。

 

事業者へ提供することに受検者本人が同意した場合は、事業者が結果の記録を5年間保存ることが義務付けられています(労働安全衛生規則第52条の13)

 

ストレスチェック結果を事業者に提供することに受検者本人が同意しない場合、事業者は実施者や実施事務従事者により結果の保存が適切に行われるよう、必要な措置を講じなければなりません。

 

衛生委員会などで管理場所や方法を審議し、秘密が守られるよう配慮が必要です。

 

労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル(厚生労働省労働基準局安全衛生部 労働衛生課産業保健支援室)を編集して作成

 

ストレスチェック実施時の注意点

報告書とノートパソコンの画面に多数のグラフ。

本人の同意がない限り結果の開示はNG

ストレスチェックの結果は極めて重要な「個人情報」です。前述の通り、結果による不当な人事評価を防ぐため、人事権を持つ従業員が本人の許可なく内容を閲覧することは禁じられています。

 

守秘義務の徹底:実施者や実施事務従事者は、第三者への漏洩防止はもちろん、他のストレスチェック担当者であっても人事権を持つ者には決して結果を漏らさないよう、徹底した情報管理が求められます。

 

情報共有の最小化: 業務上の配慮などでどうしても情報を共有する必要がある場合は、必ず本人の同意を得た上で、必要最小限の範囲留めなければなりません。

 

 

不利益な取扱いの禁止

ストレスチェックの結果そのものや、高ストレス者が「面接指導」を申し出たことを理由に、 解雇・契約更新の拒否・不当な配置転換や降格・退職勧奨など、不利に扱うことは禁止されています。

 

表面上は「体調への配慮」を理由にしていても、本人の希望に反する配置転換などは不利益な取扱いとみなされるケースがあるため、慎重な対話が必要です。

 

「やりっぱなし」で終わらせない

ストレスチェックの目的であるメンタルヘルス不調を未然に防止(一次予防)するためには、実施後の集団分析や職場環境改善が欠かせません。

 

ストレスチェックの結果を「個人の問題」で終わらせず、「組織の課題」として捉え、受検率や面接指導の実施状況を確認し、来年度に向けた改善事項の検討をしましょう。

 

外部機関への委託基準

ストレスチェックの実施者及び面接指導は、事業場の産業医が実施することが望ましいですが、必要に応じて外部機関への委託も可能です。

外部機関を比較検討する際には、以下のポイントを中心にチェックしましょう。

 

実施体制:管理責任者が明確になっているか、ストレスチェックの実施者として必要な資格を有する人が確保されているか

 

産業医との連携:外部機関と対象事業場の産業医などが連携することが望ましいことを理解しているか

 

情報セキュリティ: 実施者及び受検者本人以外の第三者が結果を閲覧できないような十分なセキュリティが確保されているか

 

なお、50人未満の事業場においては、原則として、プライバシー保護の観点から、ストレスチェックの実施を外部機関に委託することが推奨されています。

 

詳しくは厚生労働省の「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を参考にしてください。

 

 

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この記事の著者

サンポナビ編集部

サンポナビ編集部

企業の産業保健・健康経営を応援する『サンポナビ』編集部です。健康経営トータルサポートを提供している株式会社エムステージが運営しています。 産業医をお探しの企業様、ストレスチェック後の高ストレス者面接でお困りの企業様、健康経営の推進をしたい企業様は、ぜひお問い合わせボタンからご相談ください。

この記事の監修者

公認心理士・特定社会保険労務士・シニア産業カウンセラー・メンタルヘルス法務主任者
筑波大学大学院卒。大学卒業後、民間企業・社労士事務所等に勤務し、ハラスメント問題を中心としたコンサルティング業務に従事。その後、産業医事務所の事務長として産業保健領域での問題解決及び産業医・産業保健師のマネジメント等を行う。 2015 年に社会保険労務士として独立後、産業保健領域を専門に活動。 特に企業の職場復帰支援プログラムの構築を多数実施。休職者へのカウンセリング、企業担当者へ産業保健についてのコンサルテーションも多数実施【保有資格】 特定社会保険労務士 公認心理師 シニア産業カウンセラー メンタルヘルス法務主任者 他

舘野 聡子

公認心理士・特定社会保険労務士・シニア産業カウンセラー・メンタルヘルス法務主任者
筑波大学大学院卒。大学卒業後、民間企業・社労士事務所等に勤務し、ハラスメント問題を中心としたコンサルティング業務に従事。その後、産業医事務所の事務長として産業保健領域での問題解決及び産業医・産業保健師のマネジメント等を行う。 2015 年に社会保険労務士として独立後、産業保健領域を専門に活動。 特に企業の職場復帰支援プログラムの構築を多数実施。休職者へのカウンセリング、企業担当者へ産業保健についてのコンサルテーションも多数実施【保有資格】 特定社会保険労務士 公認心理師 シニア産業カウンセラー メンタルヘルス法務主任者 他

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