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ストレスチェック対象者の範囲|役員・派遣・パートも受検対象?

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ストレスチェック対象者の範囲|役員・派遣・パートも受検対象?

サンポナビ編集部

年1回の実施が義務付けられているストレスチェック制度。人事・労務の担当者様にとって、実施前の最初の関門となるのが「今回の受検対象者は誰なのか」というリストアップ業務です。

 

ストレスチェックの受検対象者は、原則として「常時使用される労働者」と定められており、「雇用形態」や「在籍状況」、「労働時間の実態」によって個別に判断します。

 

本記事では、ストレスチェックの対象者の基本的な定義はもちろん、判断に迷いやすいパート・アルバイト、役員、休職者、外国人労働者などの具体的な判断基準をケース別に解説しています。

 

 

監修:舘野 聡子(公認心理士・特定社会保険労務士・シニア産業カウンセラー・メンタルヘルス法務主任者)

ストレスチェックとは?

 

ストレスチェックとは、従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぐことを目的とした検査です。

労働安全衛生法(第66条の10)において、以下のように定められています。

 

 

事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。

出典:労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)|e-Gov法令検索

 

 

従業員自身がストレス状態に気づくだけでなく、企業側も高ストレス者への面談や集団分析を通じて、職場環境の改善につなげる重要な取り組みです。

 

これまで、ストレスチェックの実施義務は「従業員50人以上の事業場」に限られていましたが、「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」において、2028年4月1日から50人未満の小規模な事業場も含めたすべての企業で義務化される方針となりました。

 

労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令案の概要について(諮問)|厚生労働省 を編集して作成

 

ストレスチェックの受検対象者

 

人事およびワークフォースアナリティクスデータ

労働安全衛生規則(第52条の9)において、事業者は「常時使用する労働者」に対して1年以内ごとに1回、定期的にストレスチェックを実施することが義務付けられています。

 

常時使用する労働者とは

常時使用する労働者とは、「その事業場で(臨時の雇用ではなく)継続的に働く、実質的な主力メンバー」のことです。

 

つまり雇用期間の定めのない正社員は、すべて常時使用する労働者に該当し、一律でストレスチェックの受検対象となります。

 

一方で、パート・アルバイトや契約社員といった有期契約の労働者については、以下の「雇用の継続性」と「1週間の労働時間」の2つの条件をどちらも満たしているかどうかで個別に判断します。

 

 

①雇用の継続性

具体的には、以下のいずれかに該当する必要があります。

 

・期間の定めがない契約であること

・契約期間が1年以上である、または契約更新により1年以上使用される予定であること

・すでに事実上1年以上継続して雇用されていること

 

なお、契約書上の期間が3ヶ月や6ヶ月といった短期契約であっても、「何度も更新されていて、結果的に通算1年以上働いている」あるいは「今後も更新されて1年以上働く見込みが高い」という場合は、この要件を満たすものとみなされます。

 

 

②1週間の労働時間

パートやアルバイト、契約社員の「1週間の所定労働時間」が、同じ職場で同じような業務を行っている正社員(通常の労働者)の4分の3以上である場合、受検対象となります。

 

<例:正社員の週の所定労働時間が「40時間」の職場の場合>

 

週30時間以上のパート:4分の3以上のため、受検対象

週20時間未満のパート:4分の3未満のため、受検対象外

 

なお、週の労働時間が4分の3未満であっても、通常の労働者のおおむね「2分の1以上(上の例であれば週20時間以上など)」働いている従業員に対しては、メンタルヘルス不調の予防という観点から、会社の判断でストレスチェックを受けさせることが強く推奨されています。

 

労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度 実施マニュアル(厚生労働省)を編集して作成

 

受検対象者の範囲はどこまで?ケース別に解説

 

ストレスチェックの対象となるのは「常時使用する労働者」ですが、多様な働き方がある現代では、雇用形態や在籍状況によって「対象に含めるべきか」の判断が分かれます。

担当者の方が実務で迷わないよう、ケース別の早見表を用意しました。

 

雇用形態別の受検対象者早見表

まずは、雇用契約の形や所属による違いです。 ポイントは「週の労働時間」「契約期間」に加え、「自社と直接の雇用関係があるか」です。 

 

雇用形態 受検対象 判断の基準・注意点
正社員 雇用期間の定めがない正社員は一律で対象となる。
契約社員・有期雇用 契約期間が「通算1年以上」かつ、週の労働時間が正社員の「4分の3以上」であれば対象。
パート・アルバイト 契約社員と同様の基準で判断。条件を満たさない場合も、週の労働時間が正社員の「2分の1以上」なら実施推奨。
派遣社員 雇用関係のある派遣元の会社で実施するため、派遣先企業では対象外。ただし集団分析へのデータ含入は推奨。
法人の役員(取締役等) 労働者ではなく経営側であるため対象外。ただし、工場長などを兼務する「使用人兼務役員」で、労働者としての側面が強い場合は対象。

 

 

派遣社員は「派遣元」で実施する

派遣社員のストレスチェックや高ストレス者への面接指導は、原則として派遣元(派遣会社)に実施義務があり、派遣先(受け入れ企業)に義務はありません。

 

ただし、実務においては派遣先・派遣元がそれぞれ以下の点について連携・対応する必要があります。

 

職場環境の改善(集団分析)

派遣先の職場環境を正確に把握するため、派遣先が実施する集団分析には、派遣社員も含めて実施することが望ましいとされています。

 

その際、二重受検の手間や目的について本人へ丁寧に説明し、理解を得ることが大切です。

また、結果の保存や費用負担はあらかじめ両社間で取り決めましょう。

 

面接指導後の就業上の措置

面接指導の結果、業務軽減や配置変更が必要になった場合は、派遣元と派遣先が連携して対応します。

労働派遣契約の変更が必要なケースもあるため、柔軟な協議が求められます。

 

派遣労働者に対するストレスチェック等の実施に関する考え方(厚生労働省)を編集して作成

 

役員は対象外、ただし「使用人兼務役員」に注意

取締役や監査役などの役員は、労働者ではなく「使用者(経営側)」にあたるため、原則としてストレスチェックの実施義務はありません。

 

ただし、役員という肩書があっても、実態として以下のような働き方をしている場合は「労働者(使用人兼務役員や、取締役を兼務していない執行役員など)」とみなされ、受検対象となるケースがあります。

 

・役員と労働者を兼務している(取締役工場長、取締役営業部長など)

・職務内容が一般の労働者と同じである

・会社の拘束性が高い(勤務日時が指定され、勤怠管理や人事考課の対象である)

・役員報酬だけでなく「賃金(給与)」を得ている

・雇用保険に加入している

 

「役員だから一律に対象外」と決めつけず、職務内容、指揮命令関係、報酬体系などの実態を総合的に考慮して、対象に含めるべきかを判断しましょう。

 

人を雇うときのルール|(厚生労働省)を編集して作成

 

在籍状況別の受検対象者早見表

次に、籍はあるものの「休んでいる」「長期間会社にいない」といった在籍状況別の判断です。ストレスチェック実施日時点で稼働しているかどうかがポイントになります。

 

在籍状況・ケース 受検対象(義務) 判断の基準・注意点
産休・育休中の社員 実施日に休業中の場合は、対象外(見送り)。
休職中の社員 実施日に休職中の場合は対象外。
うつ病等で治療中の労働者 すでに通院・治療中であっても対象。
海外赴任中の社員 日本国内の労働安全衛生法が適用されないため対象外。
外国人労働者 日本国内の事業場で働いている場合は、国籍に関わらず一律で対象。
出向社員 出向の形態(在籍型・移籍型)や、実際にどちらの企業から指揮命令を受けているかによって異なります。
入社直後の労働者 実施日時点で「1年以上の雇用見込み」等の基本条件を満たしていれば対象。
退職予定の社員 実施日時点で在籍していれば対象。

 

産休・育休・休職中・療養中の社員の扱い

病気や休業における判断のポイントは、「実施日時点で、休んでいるか、働いているか」という勤務の実態です。

 

現在、休業・休職している場合:対象外

産前産後休業、育児休業、病気や怪我などで長期間会社を休んでいる(休職・休業中)社員は、対象外となります。

 

働きながら治療・療養している場合:対象

すでにうつ病などで通院・服薬中であっても、休職せずに通常通り働いているのであれば、原則としてストレスチェックの対象に含める必要があります。

 

ストレスチェックは、メンタルヘルス不調者のスクリーニングではなく、受検者本人がストレス状態を把握し、セルフケアを促進すること、つまり未然防止を本来の目的としています。

 

治療中の方であっても、現在の仕事によるストレス状況を客観的に把握することは、症状の悪化を防ぎ、適切に働き続けるために有効です。

 

 

海外赴任者・外国人労働者の扱い

グローバルな働き方における判断のポイントは、国籍ではなく「働いている場所が日本国内かどうか」です。

日本の労働安全衛生法が適用されるかによって、以下のように扱いが分かれます。

 

海外赴任中の社員:対象外

日本企業から海外の支店や現地法人に長期赴任している社員は、日本国内の労働安全衛生法が適用されないため、対象外となります

 

外国人労働者:対象

日本国内にある事業場で働いている労働者であれば、国籍や在留資格に関わらず日本の法律が適用されます。

そのため、正社員や条件を満たすパート・アルバイトであれば一律で対象となります。

 

【POINT】外国語版の調査票を活用しよう

日本語での受検や理解が難しい従業員がいる場合は、厚生労働省が公式に公開している外国語版(英語、中国語、ベトナム語、タガログ語、ポルトガル語など)のストレスチェック調査票をダウンロードして活用するのがおすすめです。

 

ストレスチェック制度関係 Q&A (厚生労働省)を編集して作成

 

出向社員の扱い

出向先と出向元のどちらで対象とするかは、出向の形態によって異なります。

 

移籍型出向(転籍):出向先で対象

 元の会社との雇用関係を終了し、新しい会社と雇用契約を結ぶ形態です。労働契約関係のある「出向先」に実施義務があります。

 

在籍型出向: 労働関係の実態で判断、ただし出向先での実施が望ましい

籍を出向元に残したまま別の会社で働く「在籍型出向者」の場合、出向元・出向先のどちらでストレスチェックの対象とするかは、「どちらの会社とより強い労働関係(指揮命令権や賃金の支払いなど)があるか」という実態で総合的に判断します。

 

ただし、集団分析については、職場単位で実施することが重要であるため、実態がどちらにあるかに関わらず、「出向先の会社で、出向者も含めてストレスチェックと集団分析を実施することが望ましい」とされています。

 

ストレスチェック制度関係 Q&A (厚生労働省)を編集して作成

 

入社直後・退職予定の社員の扱い

入社したばかりの社員や、近々退職が決まっている社員であっても、実施日時点で在籍していれば、原則としてストレスチェックの対象となります。

 

入社直後の社員

判断のポイントは過去の在籍期間ではなく、「今後、1年以上雇用される見込みがあるか」です。

正社員や1年以上の契約を前提とした社員であれば、入社1ヶ月目であっても対象となります。

 

ただし、業務に慣れていない時期は正確な測定が難しいため、実施時期を少しずらすなどの工夫は可能です。

 

退職予定の社員

退職日が決まっていても、実施日に在籍していれば一律に対象外とすることはできません。

ただし、実施日時点で既に有給消化などに入っており、実質的に長期間出社していない場合は、実務上「休職者」と同様に扱って対象外とすることもあります。

 

ストレスチェック実施時にやってはいけない3つのこと

 


ストレスチェックの対象者を選定し、実際に検査を実施していく一連の流れの中で、会社側が絶対にやってはいけない重要なルールが3つあります。

 

1.「一律に対象外」にするのはNG

「役員だから」「パートだから」「入社直後だから」と、肩書だけで一律に対象外にしてはいけません。ここまで解説してきた通り、雇用形態や労働時間の実態を必ず確認してリストアップする必要があります。

 

2. 受検の強要はNG

会社には「ストレスチェックを実施する義務」がありますが、従業員側には「受検する義務」はありません。受検を拒否した社員に対して、ペナルティを与えたり、無理に受検を強要したりすることは法律上認められていません。

 

3. 受検を拒否した人の「不利益な扱い」はNG

ストレスチェックを受けなかったこと(あるいは高ストレス者面接を希望しなかったこと)を理由に、評価を下げたり、契約更新を拒否したりするなどの不利益な扱いは、法律で厳しく禁止されています。

 

報告書提出における対象者のカウント方法

 

労働安全衛生規則(第52条の21)により、常時50人以上の労働者を使用する事業場は、ストレスチェック実施後に「検査結果等報告書」を労働基準監督署へ提出する義務があります。

 

50人未満の事業場も、2028年4月以降はストレスチェックの実施が義務化されますが、報告書の提出は現行ルールのまま不要です。

 

ここで混同しがちなのが、「自社の受検対象者は50人未満だから、報告書の提出も不要だろう」と勘違いしてしまうケースです。「受検対象者の人数」と「報告が必要かどうかの判定人数」は基準が異なります。

 

受検対象者: 常時使用する労働者(雇用の継続性や週の労働時間)をカウント
報告義務の判定人数: 常態として働いている人を全員カウント

 

そのため、週の労働時間が短いパート・アルバイトが多い職場では、以下のようなケースが発生します。

 

【例】総従業員55人の店舗(正社員5人、週15時間未満のアルバイト50人)

 

・実際の受検対象者: 5人 (50人未満)
・報告義務の判定人数: 55人 (50人以上)

 

この場合、実際にストレスチェックを受けるのは5人だけですが、店舗の総人数が50人を超えているため、労働基準監督署への報告書の提出が必要になりますので注意しましょう。

 

小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル(厚生労働省)を編集して作成

 

実務負担を減らし、職場環境改善へつなげるなら『Co-Labo』

 

ストレスチェック制度は、対象者のリストアップから実施時のルール遵守、そして労基署への報告書作成にいたるまで、ストレスチェック担当者にかかる細かな実務負担が多い制度です。

 

多くの企業では「法律を守って無事に実施し、報告書を提出すること」が目的になってしまい、ストレスチェックの本来の目的である職場環境改善を通じたメンタルヘルス不調まで行き届かないというケースが少なくありません。

 

株式会社エムステージが提供するストレスチェックサービスCo-Labo』は、充実した運用サポートで担当者の負担を削減。
実務の負担が減ることで、本来一番時間をかけるべき「集団分析結果の読み解き」や「実際の職場環境改善」へとスムーズに注力できるようになります。

 

さらに「集団分析レポート」や「プレゼンティーズム評価分析レポート」で課題を可視化。どのように改善すれば良いかもレポートに記載があるため、職場環境改善に効果的です。

 

「毎年のストレスチェック対応だけで手一杯になっている」「もっと組織の課題解決にデータを活かしたい」という担当者様は、ぜひお問合せください。

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※Co-Laboは、株式会社ヒューマネージが運営・開発、株式会社エムステージ等が販売するストレスチェックサービスです。

 

この記事の監修者
公認心理師・特定社会保険労務士・シニア産業カウンセラー・メンタルヘルス法務主任者
筑波大学大学院卒。大学卒業後、民間企業・社労士事務所等に勤務し、ハラスメント問題を中心としたコンサルティング業務に従事。その後、産業医事務所の事務長として産業保健領域での問題解決及び産業医・産業保健師のマネジメント等を行う。 2015 年に社会保険労務士として独立後、産業保健領域を専門に活動。 特に企業の職場復帰支援プログラムの構築を多数実施。休職者へのカウンセリング、企業担当者へ産業保健についてのコンサルテーションも多数実施【保有資格】 特定社会保険労務士 公認心理師 シニア産業カウンセラー メンタルヘルス法務主任者 他

舘野 聡子

公認心理師・特定社会保険労務士・シニア産業カウンセラー・メンタルヘルス法務主任者
筑波大学大学院卒。大学卒業後、民間企業・社労士事務所等に勤務し、ハラスメント問題を中心としたコンサルティング業務に従事。その後、産業医事務所の事務長として産業保健領域での問題解決及び産業医・産業保健師のマネジメント等を行う。 2015 年に社会保険労務士として独立後、産業保健領域を専門に活動。 特に企業の職場復帰支援プログラムの構築を多数実施。休職者へのカウンセリング、企業担当者へ産業保健についてのコンサルテーションも多数実施【保有資格】 特定社会保険労務士 公認心理師 シニア産業カウンセラー メンタルヘルス法務主任者 他

 

この記事の著者
サンポナビ編集部

サンポナビ編集部

企業の産業保健・健康経営を応援する『サンポナビ』編集部です。健康経営トータルサポートを提供している株式会社エムステージが運営しています。 産業医をお探しの企業様、ストレスチェック後の高ストレス者面接でお困りの企業様、健康経営の推進をしたい企業様は、ぜひお問い合わせボタンからご相談ください。

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