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産業医を東京で探すには?報酬相場や選び方、求められるスキルを解説

産業医を東京で探すには?報酬相場や選び方、求められるスキルを解説
産業医を東京で探すには?報酬相場や選び方、求められるスキルを解説

東京都で産業医を探す際、候補となる医師や紹介会社が多く、どう選べばよいか迷う人事労務担当者の方も多いのではないでしょうか。

 

「自社のニーズにあう産業医の探し方がわからない」「報酬相場がわからず予算取りが難しい」といった悩みも聞かれます。

 

本記事では、東京都の産業医事情や報酬相場、選び方のポイントについて解説します。

自社の課題解決につながる最適な産業医を見つけるためのヒントが得られます。

 

東京の産業医事情とは?エリアによるニーズの違い

 

東京都の風景イメージ

 

東京都の産業医事情として、以下の3つが挙げられます。

 

  • 23区内と区外でニーズが異なる
  • メンタルヘルス対策の需要が高い
  • 実働している産業医が足りない

 

1. 23区内と区外でニーズが異なる

東京都は23区内と23区外で集中する業種が異なるため、産業医に求められる役割にもエリアごとに特色があらわれています。

 

主な違いをまとめると以下の通りです。

 

エリア 主な特徴 産業医に求められる役割
23区内(特に都心部) ・IT企業や大企業の本社機能が集中。デスクワーク中心の業務が多い。

・テレワーク実施率が高い。

メンタルヘルス不調への対応や、長時間労働対策が重視される。
23区外(多摩地域など) 製造業の事業所や研究所などが多い立地。 化学物質の管理や騒音対策など、労働安全衛生法にもとづく有害業務への対応が必要なケースが多い。

 

23区内はIT企業や大企業の本社機能が集中し、デスクワークやテレワークが多い環境です。そのため、メンタルヘルス不調長時間労働への対策が特に求められます。

 

 一方で、23区外は製造業が盛んです。特に多摩地域は、東京都全体の約6割の製造品出荷額を占めています。工場や研究所が多いため、化学物質管理や騒音対策など、有害業務への対応が重視される傾向にあります。 

 

令和3年経済センサス‐活動調査(総務省統計局)を編集して作成

 

2. メンタルヘルス対策の需要が高い

上述の通り、特に23区内ではデスクワーク中心の業務形態や高いテレワーク実施率が特徴です。こうした職場環境のなかで多くの企業において、メンタルヘルス対策は避けて通れない課題となっています。

 

実際に東京労働局の調査によると、管内の事業場においてメンタルヘルス対策に取り組んでいる割合は89.4%に達しています。 厚生労働省が実施した全国調査(令和5年度労働安全衛生調査)における平均の63.8%と比べても高い水準です。このことからも、東京では特にメンタルヘルス対策に注力する企業が多いことがわかります。

 

そのため、精神科や心療内科の経験がある医師、あるいはメンタルヘルス対応に精通した産業医のニーズが高まっています。

 

メンタルヘルス対策等自主点検実施結果について(厚生労働省東京労働局)を編集して作成

令和5年度労働安全衛生調査(厚生労働省)を編集して作成

 

3. 実働している産業医が足りない

東京都は医師の数自体は多いものの、実働する産業医は不足しているのが現状です。

東京都内で産業医の選任義務がある従業員50人以上の事業所は、約3万件に上ります。これは、全国で実際に活動している産業医の推計数(約3万人)に匹敵する規模です。 

 

産業医の高齢化や、名義貸しに近い実態も問題視されています。1人の嘱託産業医が複数の事業所を掛け持ちしたとしても、需要に追いついていないといえるでしょう。

 

加えて、東京の企業が求める高度なメンタルヘルス対応やITリテラシーを備えた医師は限られます。条件に合う医師を見つけても、すでに他社での稼働で手一杯と断られることも珍しくありません。

 

この状況に拍車をかけると懸念されるのが、令和10年5月までに施行予定の「労働者50人未満の事業場におけるストレスチェック実施義務化」です。義務化に伴い、ストレスチェックの実施と高ストレス者への面談を担う産業医のニーズが高まることが予想されます。

 

その結果、小規模事業場の産業保健活動を支援する「地域産業保健センター(地さんぽ)」への相談も増加し、産業医とのマッチングが今以上に難しくなる可能性があります

 

医師会が関わる産業保健の現状(厚生労働省「第2回 産業保健のあり方に関する検討会」資料, 2022年11月14日)を編集して作成

令和3年経済センサス‐活動調査(総務省統計局 東京都総務局統計部)を編集して作成

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東京での産業医の報酬相場は?

 

電卓と聴診器のイメージ画像

 

東京都での産業医の報酬相場を知るには、以下の2つのポイントを押さえておきましょう。

 

  • 嘱託産業医・専属産業医の報酬目安
  • 報酬が変動する「専門性」と「対応領域の広さ」

 

1. 産業医の報酬目安

産業医の報酬目安は、嘱託産業医と、専属産業医で異なります。

 

嘱託産業医は、従業員数50〜999人の事業場において非常勤として選任される産業医です。月1~2回程度の頻度で企業を訪問します。一方で専属産業医は、従業員1,000人以上(有害業務がある場合は500人以上)の事業場で選任が必要であり、週3~5日程度勤務する常勤形態となります。

 

日本橋医師会が公表している報酬基準額によると、嘱託産業医の月額報酬の目安は以下の通りです。


【産業医基本報酬額(日本橋医師会による公表)】

労働者(人) 基本報酬月額(円)
50人未満 75,000~
50〜199 100,000~
200〜399 150,000~
400~599 200,000~
600~999 250,000~

出典産業医報酬基準額について(平成28年4月)│公益社団法人日本橋医師会

 

産業医の報酬は地域によって異なり、一般的に都市圏、特に東京は他エリアと比較して報酬水準が高い傾向にあります。

 

例えば、愛知県医師会産業保健部会が公表する「嘱託産業医報酬の目安」によると、従業員数が101~200人の事業場における嘱託産業医の基本月額報酬(ストレスチェック対応含まない)は、「65,000円以上」とされています 。

出典:嘱託産業医報酬の目安│愛知県医師会産業保健部会

 

専属産業医の場合、産業医の求人情報サイト「SanpoJob」の令和8年2月時点の情報では、週の勤務日数×300~400万円が年収の相場です。

 

これらの報酬はあくまで目安であり、実際の契約では訪問回数や滞在時間、従業員の規模などの条件にもとづいて報酬は変動します。

 

2. 報酬が変動する「専門性」と「対応領域の広さ」

産業医の報酬額を左右するのは、訪問日数や時間だけではありません。

企業がどこまで業務を依頼するのか」、そして「どのようなスキルを持った医師を求めているのか」によって費用は変動します。

 

専門性の面では、例えば精神科専門医や労働衛生コンサルタントなどの資格を持つ医師は希少性が高く、報酬水準が上がる傾向にあります。 

 

また、以下のような業務を依頼するかどうかでも金額は変わります。

 

  • ストレスチェックの実施者 
  • 高ストレス者への面接指導
  • 健康診断後の就業判定
  • 事後措置 ・有害業務対応(特殊健康診断など)
  • 英語対応

 

明確な定価が設定されているわけではないため、選任時の料金比較においては、自社が求める条件を明確にしておきましょう。

なお、嘱託産業医の場合、訪問時間を超える延長対応が発生した際には、追加料金がかかるのが一般的です。

 

産業医の報酬相場について詳しく知りたい場合は、関連記事もご覧ください。

 

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東京で産業医を探す5つの方法

 

産業医のイメージ

 

東京都で産業医を探す方法は以下の5つです。

 

  • 地域医師会への依頼
  • 健診機関やクリニックへの直接相談
  • 社労士・税理士からの紹介
  • 産業医紹介サービスの活用
  • 地域産業保健センターへの相談(小規模企業向け)

 

それぞれの探し方の詳細と、メリット・デメリットについて解説します。

 

1. 地域医師会への依頼

事業所がある地区の医師会(例:千代田区医師会、港区医師会など)に相談し、産業医を紹介してもらう方法です。東京都には48の地区医師会が存在し、その地域の産業医を紹介しているところもあります。利用する際にはまず、東京都医師会の地区医師会一覧ページから、該当する医師会に問合せを行いましょう。

 

【メリット】

事業所の近隣にあるクリニックの医師を紹介してもらえるため、緊急時の対応や通院の連携がスムーズです。また、紹介手数料がかからないケースが一般的です。

 

デメリット

候補となる医師の選定は医師会側に委ねられることが多く、「メンタルヘルスに強い医師」「IT業界に詳しい医師」などの細かい要望が通りにくい場合があります。

 

また、医師会では契約などのサポートは行わないので、具体的な業務内容や報酬の交渉、契約書の作成などの事務手続きは自社で行う必要があります。

 

2. 健診機関やクリニックへの相談

現在、健康診断を委託している健診機関や、近隣のクリニックに産業医を紹介してもらう方法です。

 

【メリット】

これまでの健康診断の結果データを連携しやすい点がメリットです。自社の従業員が抱えやすい健康課題への理解もあり、実効性の高い事後措置を行いやすいでしょう。

 

デメリット

健診業務がメインの医師の場合、メンタルヘルス対応や職場巡視などの産業医実務に慣れていないケースがあります。また、健診が集中する繁忙期には医師の調整が難しくなり、急な訪問依頼に応じられない可能性もあります。

 

なお、医師会の場合と同様に、契約交渉は自社で行うことが必要です。

 

3. 社労士・税理士からの紹介

顧問契約を結んでいる社会保険労務士(社労士)や税理士から、付き合いのある医師を紹介してもらうケースです。

 

【メリット】

労務管理や経営状態の把握など、自社の内情をよく知る専門家からの紹介であるため、社風や課題に合った医師の紹介が期待できます。

 

デメリット

顧問先へ質の低い医師を紹介することは自身の信用問題に関わります。そのため、過去の実績が豊富で、実務能力が確かな医師に限られ、選択肢が絞られます。

 

万が一、紹介を受けた医師と相性が合わなかったり問題が発生した場合、紹介者との関係性の配慮から、交代の要望を出しにくいという、心理的・実務的な制約が生じがちです。

 

契約交渉も同様に、自社で行う手間が生じます。

 

4. 産業医紹介サービスの活用

産業医の紹介を専門に行うサービスを利用する方法です。サービス会社に登録している産業医の中から、自社の課題にあった産業医を選べます。

 

【メリット】

数千人規模の登録医師の中から、自社の課題(メンタル不調、休職復職対応など)や条件(予算、訪問頻度)にあう医師を厳選して紹介してもらえます。また、「オンライン面談やチャットツール利用が可能」といった希望にも、より細やかに対応できる場合が多いです。

 

契約書の作成や選任後のサポートも受けられるため、人事労務担当者の負担を軽減できます。

 

デメリット

医師への報酬とは別に、紹介手数料やサービス利用料が発生するため、他の方法と比較してコストがかかる場合があります。

 

5. 地域産業保健センターへの相談(小規模事業場向け)

地域産業保健センター(地さんぽ)では、従業員50人未満の小規模事業場(産業医の選任義務がない事業場)を対象に、無料で産業保健サービスを提供しています。東京都には、18の地域産業保健センターがあり、事業場の所在地を対象地域としているセンターへの申し込みが必要です(例:東京都地域産業保健センター一覧)。

 

【メリット】

費用をかけずに、医師による面接指導や健康診断結果への意見聴取などの労働安全衛生法で定められた産業保健サービスを受けられます。

 

デメリット

継続的な契約ではないため、毎回同じ医師が担当するとは限りません。また、「1事業場当たり2回まで、労働者1人あたり2回まで」と利用回数に制限があるため、長期的なフォローアップは受けにくいです。

 

産業医の探し方についてより詳しく知りたい場合は、関連記事もご覧ください。

 

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東京の産業医に求められるスキル3選

 

デバイス操作に慣れている産業医のイメージ

 

東京都で活動する産業医に求められるスキルは以下の3つです。

 

  • 【メンタルヘルス】不調者の判定力と柔軟性
  • 【多言語対応】外国人従業員への対応
  • 【働き方】テレワーク環境での改善提案やコミュニケーション

 

1. 【メンタルヘルス】不調者の判定力と柔軟な対応

東京都は第3次産業(サービス業など)の比率が全国平均と比べて高く、なかでも情報通信業(IT企業)の集中が顕著です。全国の事業所数の37.2%が都内に集まっており、従業者数で見ると54.7%と、過半数が東京都に集中しています。

 

ITエンジニアなどの専門職は、納期へのプレッシャーや長時間労働によりメンタルヘルス不調に陥るリスクがあります。そのため、ケガなどの身体的な危険よりもメンタルヘルス対策の需要が高い傾向にあります。

 

メンタル不調は外見からは回復度が分かりにくく、再発リスクも高いため、休職や復職の判定は難易度が高くなります。主治医の診断書だけでなく、職場の状況を踏まえた産業医の的確な判断が必要です。

また、突発的な不調者の発生への柔軟かつ迅速な対応も求められます。

 

令和3年経済センサス‐活動調査(総務省統計局 )を編集して作成

 

2. 【多言語対応】外国人従業員への対応

令和5年の厚生労働省の調査によると、外国人労働者数が最も多いのは東京都であり、全国の26.5%を占めています。

 

日本語が不得手な従業員に対しても、適切な健康管理を行うため、英語をはじめとした多言語で面談ができる産業医が必要です。

 

「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和5年10月末時点)(厚生労働省)を編集して作成

 

3. 【働き方】テレワーク環境での改善提案やコミュニケーション

東京23区の企業におけるテレワーク実施率は、2023年(令和5年)時点で51.6%であり、全国平均の30.0%と比較して高い水準にあります。

 

オフィスに出社しない働き方が定着する中で、ZoomやGoogleMeetなどを用いたオンライン面談や、チャットツールでの相談体制に抵抗がない「デジタル適応力」の重要性が高まっています。

 

また、運動不足や非対面ゆえのコミュニケーション不足による孤独感が問題になることがあります。加えて、通信環境の不備によって業務効率が低下し、ストレスにつながるケースも少なくありません。

 

こうした在宅勤務特有の健康課題を理解し、具体的な改善提案ができる産業医が求められています。

 

第6回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査(令和5年4月19日)(内閣府)を編集して作成

 

自社に最適な産業医を見つけることが必要

 

産業医の役割は、従業員の健康を守り企業のリスクを管理することです。報酬の安さのみを優先して形式的な選任にとどめることは、結果として不調者への対応遅れや法改正への対応漏れなどの事態を招く可能性があります。

 

そのため、メンタルヘルス対策や多言語対応など東京エリア特有のニーズに精通していることはもちろん、自社の課題に対して解決策を提示できる産業医を選任することが、従業員の安全と会社の成長には不可欠でしょう。

 

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