産業保健の「知」を共有するメディア

総合トップ / コラムトップ / /

産業医の報酬相場は?専属・嘱託の料金の目安、探し方を解説

産業保健ニュース・コラム 産業医・保健師・企業の人事担当者など産業保健に携わるすべての人が使えるナレッジを共有できるサービスです。

産業医の報酬相場は?専属・嘱託の料金の目安、探し方を解説

(更新:

片桐はじめ

産業医選任の際には、「料金の相場は?」「探す場所で費用が違う?」など、報酬に関して頭を悩ませることも多いでしょう。

 

産業医の報酬相場は、契約形態や地域差、産業医の経験などさまざまな要因によって異なります。報酬相場を正しく把握することで、無理のない範囲で自社に見合ったサービスを探しやすくなるでしょう。

 

本記事では、産業医の報酬について、相場や報酬に違いが生じるポイントを解説します。産業医の比較検討や採用時の参考にしてみてください。

 

 

\\はじめての産業医選任ガイドブック//

資料を無料でDLする

 

産業医の報酬相場はどれくらい?

 

握手する女性医師とビジネスマン

 

産業医の報酬は、企業規模や地域、産業医のスキルや経験によって異なります。

契約形態ごとに報酬の相場をみてみましょう。

 

専属産業医(常勤)の報酬

 

専属産業医とは、企業に常勤として週3~5日程度勤務する産業医のことです。

 

医師の転職情報サイト「Dr転なび」の2025年7月の求人情報を見ると、専属産業医の給与は、週4~5日の勤務で1,000~1,500万円程度で提示されることが多いようです。

 

専属産業医の選任は、主に大規模な事業場や危険性を伴う業種において義務付けられています。具体的には、以下のような事業場です。

 

  • 常時使用する労働者が1,000人以上:1人以上
  • 常時使用する労働者が3,001人以上:2人以上
  • 有害業務(※)を行う事業場で労働者が500人以上:1人以上

※粉じんや有機溶剤、放射線などの健康障害のリスクを伴う業務

 

選任条件に当てはまる場合は、専属形態での産業医選任を検討しましょう。

 

産業医について(厚生労働省)を編集して作成

 

嘱託産業医(非常勤)の場合

 

嘱託産業医とは、月1~2回の勤務で活動する非常勤の産業医です。報酬相場は、主に従業員数によって異なります。

東京都に所在する日本橋医師会のヒアリング調査によれば、以下のような月額報酬が目安となっています。

 

  • 従業員50人未満:75,000円〜
  • 従業員50〜199人:100,000円〜
  • 従業員200〜399人:150,000円〜
  • 従業員400〜599人:200,000円〜
  • 従業員600〜999人:250,000円〜

参考:産業医報酬基準額について│日本橋医師会

 

月額報酬に加えて、ストレスチェックや面接指導、特定疾患対応(がん・脳血管疾患など)には追加の費用が発生することが多いでしょう。

 

産業医の報酬に違いが生じる3つのポイント

 

POINTと書かれたブロックとノートとシャーペン

産業医の報酬は、地域差や業界・業種、産業医の探し方によって異なります。違いが生じる3つのポイントについて詳しく説明します。

 

地域差

産業医の報酬は、地域によって異なるため、事業場のある地域の相場を調べておくことが大切です。例えば、東京・愛知・札幌では、同じ従業員数でも以下のような違いがあります。

 

  • 東京(日本橋医師会):50~199人で月額10万円~
  • 愛知(愛知県医師会産業保健部会):101~200人で月額6万5,000円~
  • 札幌(札幌市産業医協議会):100人~199人:月額7万円~

 

一般的には、都市圏では報酬水準が高い傾向にあります。ただし、地方においても人手不足により費用が高くなるケースもあるため、注意が必要です。

 

地域の費用相場を調べる際には、その地域でサービスを提供している会社やフリーランス産業医の料金を参考にするとよいでしょう。

 

参考:産業医報酬基準額について│日本橋医師会

参考:嘱託産業医報酬の目安│愛知県医師会産業保健部会

参考:嘱託産業医標準料金表│札幌市産業医協議会

 

業界や業種

産業医の報酬は、業界や業種によっても異なります。

特に、化学物質の取扱いや粉じん作業などの有害業務が多い業種では、報酬が高くなる傾向があります。

有害業務を含む企業では、特殊健康診断や作業環境測定の評価など、通常よりも詳しい健康管理が求められるからです。

有害要因に関する専門知識と経験が必要となるため、基本報酬に上乗せされるケースが多いでしょう。

 

その他にも、夜勤や交代制勤務が多い業種や長時間労働が発生しやすい業界では、面接指導の回数が多く、追加料金が発生することもあります。

 

業界や業種によって異なる産業医の報酬を知るには、同業他社のコストをリサーチするとよいでしょう。

業界団体や同業他社との情報交換、産業医紹介サービスでの相談を通して、業界特有の相場をつかんでおくことが大切です。

 

産業医の探し方

産業医を探す際には、地域の医師会や健康診断を依頼している医療機関、産業医紹介会社などから紹介してもらう方法があります。

紹介先によって報酬体系や対応範囲が異なるため、費用対効果を考慮して選ぶことが大切です。

 

探し方によって生じる報酬の違いについては、次の章で詳しく説明します。

 

 

\\はじめての産業医選任はエムステージ//

お問合せをする

 

産業医の紹介元によって異なる報酬の違い

 

病院でビジネスマンと話す男性医師二人

産業医を探す方法には、主に以下の4つがあり、それぞれ報酬体系や特徴が異なります。自社のニーズや予算に合わせて最適な探し方を選ぶことが重要です。

 

  • 地域の医師会からの紹介
  • 医療機関からの紹介
  • 産業医紹介サービスの利用
  • 地域産業保健センターの利用

 

地域の医師会からの紹介

地域の医師会に問い合わせて、産業医を紹介してもらう方法です。地域の産業特性や紹介先の医療機関の情報などに精通した産業医と契約でき、地方でも探しやすいことがメリットです。

 

一方で、直接契約となるため、他の探し方と比べると報酬がやや高めになるケースが多いでしょう。また、契約や報酬交渉も自社で行う手間が生じる点もデメリットといえます。

 

医療機関からの紹介

健康診断を依頼している医療機関や健診機関から産業医を紹介してもらう方法です。健康診断と産業医契約をセットで行うことで、割引が適用されるケースもあり、コスト削減につながります。また、従業員の健康状態を把握しているため、有所見者への対応や改善提案がよりスムーズでしょう。

 

一方で、健康診断の繁忙期には産業医も忙しくなるため、必要時に対応できない可能性があります。紹介できる産業医の数にも限りがあり、ニーズに沿った人材を見つけにくい場合もあるでしょう。

 

産業医紹介サービスの利用

登録している産業医の中から、自社に合わせた産業医を紹介するサービスです。多様な専門性や経験を持つ産業医から選べる選択肢の豊富さがメリットです。また、紹介会社に産業医と企業の間に入って調整してもらえるため、何らかのトラブルが生じた場合でも安心できます。

 

一方で、費用に関しては紹介料や月額管理料が発生するため、やや割高な傾向があります。ただ、産業医と直接契約をする方法に比べると、報酬の交渉や契約内容の調整などのフォローがあるため、費用対効果が高いといえるでしょう。

 

地域産業保健センターの利用

産業医選任義務のない従業員数50人未満の事業場では、地域産業保健センターの利用が可能です。各都道府県に設置された公的機関で、産業医の面接指導や職場巡視、健康相談などを無料で受けられます。健康診断後の就業判定など、産業医の選任義務がなくても法的な対応が必要な場面で有効です。

 

ただし、利用回数に制限があったり、担当する産業医が毎回変わる可能性があったりするなど、デメリットもあります。利用頻度が多い場合には、嘱託産業医と契約する方が、スムーズな対応ができるでしょう。

 

あわせて読みたい関連記事

 

産業医を選任するならエムステージ

 

ビジネスパーソン

産業医の選任にはさまざまな方法がありますが、特に初めて選任する企業には、産業医紹介サービスがおすすめです。エムステージの産業医紹介サービスでは、コストパフォーマンスと充実したサポート体制で、幅広い業種の企業からご活用いただいています。

 

初期費用0円、月額3万円(税抜)~の業界最安水準※

業務管理クラウドや各種書類フォーマットも無償で利用できるため、業界最高レベルのコストパフォーマンスです。

 

産業医紹介に当たっては、産業保健の専門知識を持つコンサルタントが、企業の課題や希望に応じたマッチングを行います。

22年以上の医師紹介実績で培った、全国約7,000名の登録産業医の中から、最適な産業医を提案します。

 

※交通費は実費請求となります。月額費用は、業務時間や頻度、候補産業医の経験や対象事業場所在地により変動いたします。

 

専任担当者やクラウド無償提供による実務サポートが充実

エムステージでは、産業医の紹介だけでなく、実務面でのサポートも充実しています。

初めて産業医を選任する企業では、産業医とのやりとりや衛生委員会の運営など、実務面での手間や疑問が生じがちです。

エムステージでは、業界最多クラスのサポート担当者数で、ちょっとした疑問にも迅速に対応できる体制を整えています。

 

また、業務管理クラウド「MConnect」を無償提供しており、産業医への業務依頼や訪問時の記録の共有をしやすくなります。

クラウド上で産業医や保健師などの専門職に疑問点を質問できる機能もあり、訪問日以外での対応も可能です。

 

ストレスチェックや健診代行までトータルサポート

エムステージでは、産業医紹介にとどまらない、健康経営のトータルサポートを提供しています。

健康診断予約代行や健康管理システム「HealthCore」により、従業員の健康管理を効率化。

また、ストレスチェック「Co-Labo」や研修サービスなどのメンタルヘルス対策から休職者の発生を未然に防ぐ仕組みづくりをサポートします。

 

産業保健体制・健康診断・メンタルヘルス対策の3つを軸に、法令対応と予防的な健康管理を一体化させたサービスが特長です。

 

ご相談は無料で承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

お問合せをする

 

この記事の著者

片桐はじめ

片桐はじめ

(公認心理師・臨床心理士)
精神科病院、心療内科クリニックの心理職として、精神疾患を抱える方や働く人のカウンセリングや心理療法等に従事。
現職の経験を活かし、メンタルヘルス・産業保健領域でのWebライター、インタビューライターとして活動中。