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サンポナビ編集部


従業員の健康管理や安全な職場づくりを進める中で、「労働衛生コンサルタント」という専門職の存在を耳にしたことはないでしょうか。
「産業医と何が違うの?」「自社でどのように活用すべきか分からない」という人事・労務担当者の方も少なくありません。
本記事では、労働衛生コンサルタントの役割や業務内容、産業医との違いを比較表を交えて分かりやすく解説します。
監修:舘野 聡子(公認心理士・特定社会保険労務士・シニア産業カウンセラー・メンタルヘルス法務主任者)
目次

労働衛生コンサルタントとは、事業者の求めに応じて職場の労働衛生状況を診断し、改善のための指導や助言を行う、国家資格を持った専門家です。令和7年度の合格率は21.0%で、難関国家資格の一つに数えられます。
特に専門スタッフの配置が難しい中小企業などを対象に、企業外の有識者として労働衛生対策の推進を支援します。
労働衛生に関する高い専門知識はもちろん、業務に関する厳格な信用の保持が求められる、極めて信頼性の高いプロフェッショナルです。
労働安全衛生法第86条によって厳格な守秘義務が定められているため、職務上知り得た労働者の健康情報や企業の機密が漏洩する心配はありません。
※職場のあんぜんサイト(厚生労働省)を編集して作成
生産工程の複雑化や、新たな化学物質規制の導入により労働災害の原因が多様化する中、事業場の安全衛生水準を向上させる専門家としての役割が期待されます。
労働衛生コンサルタントの主な業務は以下の通りです。
・労働衛生診断及びこれに基づく改善計画の作成
・労働衛生に関する教育
・労働衛生に関する講演
・局所排気装置、全体換気装置、除じん装置の設計・評価
・労働衛生に関する諸規程、計画、点検基準等の指導
・労働安全衛生マネジメントシステム構築支援
引用:労働衛生コンサルタント業務(北九州病院グループ 一般財団法人西日本産業衛生会)
コンサルタントにはそれぞれの得意分野を示す「区分」が設けられています。
労働衛生コンサルタントの対となる、「労働安全コンサルタント」という国家資格も存在します。それぞれの資格の違いを解説します。
労働衛生コンサルタント
労働安全コンサルタント
職場の安全衛生課題は、企業規模や成長フェーズによって様々です。
労働衛生コンサルタントは、企業の規模や産業医の有無を問わず、国家資格を持つ外部の第三者として「職場環境・組織の仕組み化」にアプローチします。
下記のような困りごとがある場合、労働衛生コンサルタントの導入を検討するのがおすすめです。
・従業員数が50人未満で産業医がおらず、労働衛生対策が手つかずになっている
・産業医はいるが、面談で手一杯、または専門外の課題に対応できない
・労働基準監督署から是正勧告(指摘)を受けたので、至急対応が必要
・安全衛生の対策を提案しても、現場や経営陣が動かない
現場のリスクアセスメントによる課題の数値化・優先順位付けを行い、現場の負担にならない現実的な運用ルールや設備改善案を策定します。
また、経営陣や現場が納得できる客観的なデータを示すことで合意形成を促し、低コストで確実な法令遵守体制の構築へと導きます。

労働安全衛生法で50人以上の事業場に選任が義務付けられている「産業医」に対し、「労働衛生コンサルタント」は、企業の判断で必要に応じて依頼する、外部の専門家という位置づけになります。
| 労働衛生コンサルタント | 産業医 | |
| 主な役割 | 事業場の衛生状態を診断し、
指導・計画作成などを外部から客観的に行う専門家 |
労働者の健康管理や職場環境の維持・改善を内部から継続的に行う医師 |
| 選任義務 | なし(任意) | 従業員数50人以上の事業場で
選任義務が発生 |
| 資格要件 | 労働衛生コンサルタント試験に合格し、厚生労働省の名簿に登録された者 | 以下のいずれかを満たす医師
① 厚生労働大臣が指定する研修(日医の産業医学基礎研修など)の修了者
② 産業医科大学などの指定大学の卒業・実習修了者
③ 労働衛生コンサルタント(保健衛生区分)の資格保持者 など |
どちらも「労働者の健康」と「職場環境の維持・管理」に深く関わりますが、そのアプローチの視点と解決の手法が異なります。
毎月の職場巡視や健康診断、面談などを通じて、「従業員の健康状態に問題がないか」をウォッチします。
産業医も、職場巡視などを通して「作業スペースを広くしたほうがいい」「室温を調整すべき」といった職場環境全体への提案や事業者への勧告をおこないますが、そのアプローチの出発点は「環境が従業員の心身にどう影響するか」という医学的リスクが主です。
面談などを通して「一人ひとりの従業員の心身に寄り添い、その個人が安全に働けるか」を主軸に置き、個々の健康状態に合わせた就業配慮や復職支援など、個別性の高い対応に強みを持ちます。
従業員個人の健康管理や面談ではなく、「健康障害が起きない職場環境や、組織の仕組みそのものをどう構築するか」という視点からアプローチします。
たとえば、保健衛生を得意とするコンサルタントは、 メンタルヘルス推進体制の構築や過重労働防止ルールの策定など、組織の運用改善をし、不調を未然に防ぐ仕組みを作ります。
労働衛生工学を得意とするコンサルタントは、局所排気装置の設置や騒音対策など、設備やハードウェアを物理的に改善し、職場環境そのものから有害因子を排除します。

労働衛生コンサルタントと産業医は、必要に応じてそれぞれ導入し連携させることも可能ですが、「両方の資格をあらかじめ兼ね備えている医師」を産業医として選任する選択肢もあります。
産業医の医学的視点と、労働衛生コンサルタントの職場改善・法令対応の視点を併せ持つ専門家は、個別の健康対応から職場の仕組み改善まで、一気通貫で設計しやすい点が強みです。
産業医が面談等で気づいた職場の課題を企業にフィードバックしても、企業側に専門知識やリソースが足りず、具体的な職場改善(設備投資やルールの刷新)にまで落とし込めず立ち往生してしまうケースは少なくありません。
しかし、労働衛生コンサルタント資格を持つ産業医であれば、「医師としての改善勧告」にとどまらず、企業が次にどう動くべきかという「具体的な実務への落とし込み」までセットで提示してもらうことが期待できます。
職場における労働衛生対策は、従業員の健康を守るための「医学的な理想」と、納期やコストといった「現場の生産活動(現実)」の折り合いをどうつけるかが、企業担当者を最も悩ませるポイントです。
労働衛生コンサルタント資格を持つ産業医は、医学的な知見だけでなく、労働安全衛生法に基づく具体的な職場改善の手法を、網羅的に体系立てて習得しています。
「どうすれば法律や医学的な安全基準をクリアしながら、現場の生産活動への影響を最小限に抑えられるか」という、自社にとって最適な解決方法の提示が期待できます。
株式会社エムステージでは、労働衛生コンサルタントの資格を持つ産業医のご紹介が可能です。
すべての登録産業医と事前面談を行い、資格やご経験、お人柄などを把握しているため、産業保健の専門知識をもつキャリアサポートが、企業の課題に合わせた最適な人材をご紹介します。
労働衛生コンサルタント資格を持っている医師であっても、一人ひとり得意分野や支援スタイルは異なります。
たとえば、「メンタルヘルス対策や健康経営の仕組み化が得意なタイプ」や、「工場の有機溶剤・化学物質管理や、物理的な作業環境改善に実績があるタイプ」など、自社が今まさに抱えている課題を明確にした上で、「その領域の実績が豊富な医師か」を確認して選ぶことが、選任で失敗しないための重要なポイントです。
また、「はじめての産業医選任で何をすれば良いのか分からない」という企業担当者の負担を解消するべく、専任スタッフが企業と産業医の間に入り、連携をサポートします。
資料ダウンロードは無料ですのでお気軽にお問合せください。
舘野 聡子
公認心理師・特定社会保険労務士・シニア産業カウンセラー・メンタルヘルス法務主任者
筑波大学大学院卒。大学卒業後、民間企業・社労士事務所等に勤務し、ハラスメント問題を中心としたコンサルティング業務に従事。その後、産業医事務所の事務長として産業保健領域での問題解決及び産業医・産業保健師のマネジメント等を行う。 2015 年に社会保険労務士として独立後、産業保健領域を専門に活動。 特に企業の職場復帰支援プログラムの構築を多数実施。休職者へのカウンセリング、企業担当者へ産業保健についてのコンサルテーションも多数実施【保有資格】 特定社会保険労務士 公認心理師 シニア産業カウンセラー メンタルヘルス法務主任者 他
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