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パソコン作業で目の疲れを軽減するための指標「VDTガイドライン」とは?

(更新:

オフィスワーカーの皆さんは、1日のうちにどれくらい画面を眺めていますか?

 

仕事中だけでなく、オフの時間もスマートフォンやタブレットを使用していることで、心身には大きな負荷がかかっています。

 

厚生労働省では、パソコンなどを使用して働く労働者に向けた注意点を、ガイドラインとして2002年に公表していました。そして、2019年の7月にはガイドラインに大幅なリニューアルが行われています。

 

適切な作業姿勢などをガイドラインからチェックしていきましょう。

 

オフィスワーカーが知っておきたい「VDT作業」の知識

 

「VDT作業」とは?

「VDT」とはVisual Display Terminalsの略で、モニターやディスプレイなどの出力装置と、マウスやキーボードといった入力装置で構成された機器のことです。つまり、パソコンやスマートフォン、タブレットなどがこの「VDT」に該当します。

 

そして「VDT作業」とは、パソコンなどの機器を使用して行う作業のことを指します。

 

※新しいガイドラインでは「VDT」という名称も使われなくなりました(本稿も以降では使用いたしません)。

 

17年ぶりにリニューアルされた「VDTガイドライン」

主にパソコンなどを使用して仕事をする労働者向けの指針として、平成14年に、厚生労働省は「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」を公表しました。

 

その「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」が「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」として17年ぶりにリニューアルされました。

 

リニューアルの背景には、オフィスワーカーの増加があります。

 

また、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットといった機器の登場によって、オフィスワーカーの労働環境が変化したことが挙げられています。

 

ガイドラインで示されている作業時の注意点とは?

 

 

1日4時間以上、パソコンで作業する労働者が対象

「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」は、1日に4時間以上パソコンなどを使用する労働者を対象にしており、オフィスワーカーが働く時に注意すべき事項が記されています。

 

例えば、長時間にわたって画面を凝視し続けることによる眼精疲労は、身体だけでなく、メンタルヘルスにもに悪影響を及ぼします。

 

また、パソコンを使用する際に適切でない姿勢で作業することは腰痛の原因ともなり、最悪の場合には労災にもつながる恐れがあります。

 

労働者個人だけでなく、職場(作業)環境管理の視点から企業としても注意する必要があります。

 

ガイドラインに記載された注意点を見ていきましょう。

 

パソコンを使用する際には適切な目の保護を心がける

眼精疲労の対策としてまず大切になるのは、作業環境管理(オフィスの環境整備)をすることです。

 

具体的には、ガイドラインに示されている以下1~3の項目に従って適切な光量・採光を保つことが挙げられています。

 

  1. 室内の明暗の対象をなるべく少なくし、まぶしさを生じさせないようにすること
  2. ディスプレイ画面上の照度を500ルクス以下、書類やキーボード上の照度を300ルクス以上にする。
  3. ディスプレイに太陽光などが入射する場合には、窓にカーテン・ブラインドを設置する

 

 

グレアを防止するための措置を取る

グレアとは、明かりによる見えにくさや不快を感じるまぶしさのこと。

 

オフィスの照明器具が明るすぎる場合には、蛍光灯などのまぶしさを低減させるカバーなどを使用することや、間接照明を使用してグレアを低減させることがすすめられています。

 

また、ディスプレイが明るすぎる場合には、画面にフィルターをかけることも効果的でしょう。

 

ガイドラインでは、グレアの防止について以下4つの項目を定めています。

 

  1. ディスプレイの位置・前後の傾き・左右の向きなどを調節すること
  2. 反射防止型ディスプレイを使用すること
  3. グレア防止用器具を用いること
  4. その他、グレアを防止するための有効な措置を講ずること

 

企業は従業員の作業時間と健康管理に注意する

 

 

長時間の連続作業は避け、適した機器を使用すること

ディスプレイを長時間見続けることがないよう、ガイドラインには作業時間と小休止の時間の基準が定められています。

 

  • 1回の作業が1時間以上連続しないこと連続しないようにすること
  • 1時間を超える場合には、次の連続作業まで10~15分の小休止をとること

 

また、机や椅子の高さを調整することや、ノートパソコン・デスクトップ型パソコンと、作業に合わせた機器を使用する必要があります。

 

具体的には、椅子に深く腰掛け、背もたれに背を十分に当て、足の裏全体が床に接した姿勢で、ディスプレイからはおおむね40cm以上目を離した位置での作業が望ましいとされています。

 

産業医の職場巡視などを通じて意見をもらう

「ディスプレイ画面上の照度を500ルクス以下にする」「こまめに小休止を取らせる」など、一般的なオフィスワーカーには判断が難しいところです。

 

そうした時には、産業医や産業保健師といった医療の専門家による職場巡視を活用して、職場環境を改善する方法が最も効果的です。

 

産業医の職場巡視で、適切な照度となるよう意見をもらうことや、長時間ディスプレイを見ている従業員が多い場合には、小休止を取らせるような仕組みづくりに協力してもらいます。

 

なお、ガイドラインには企業が従業員の健康管理をすることも定められており、長時間パソコンなどを使用する従業員に対しては、専門の項目が設けられた健康診断(※)を行う必要があるとされています。

 

そして、企業は健康診断の結果をもとに、適切な事後措置をとることや、従業員から相談があった場合などには、予防・対策に努めることが求められていますので、産業医と連携した活動が大切になってきます。

※健康診断の項目は東京労働局のホームページにてご覧になれます。

 

その他にも「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」には、テレワークを行う労働者に対する指導法や、スマートフォン・タブレット使用時の注意点なども記載されていますので、詳細をチェックして日頃の作業に活かしましょう。

参考:厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン


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