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【担当者向け】「ストレスチェック」とは?制度・実施に関する5つの要点まとめ

(更新:

サンポナビ編集部

50人以上の従業員がいる事業所では、年に1回の実施が義務付けられている「ストレスチェック」。

 

本記事では、ストレスチェックの全体像を把握し、正しく運用するために、押さえておきたいポイントを5つの要点でまとめました。

 

「会社でストレスチェックを実施することになった」

 

「ストレスチェックって何なの?」という方は要チェックです。

 

〈はじめに〉ストレスチェックとは?制度の目的と実施の流れ

 

ストレスチェックとは、メンタル不調を早期発見する目的がある

ストレスチェックとは、従業員50名以上の事業場が年に1回実施することが義務付けられている制度のことです。

 

また、ストレスチェック実施における準備段階から、実施、事後措置までを含めた一連の運用制度のことを指します。

 

労働者のストレス状態を把握し、早期に適切な対応を行うことで「うつ」などのメンタルヘルス不調を未然に防止することを目的としています。

 

「ストレスチェック」は、社員のメンタルヘルスに関する質問票を用いて労働者にストレス状態を調べる簡単な検査を指します。

 

ストレスチェック実施の流れ~主な4項目

まずは、ストレスチェックの実施について、おおまかな流れを理解しておきましょう(いろんな用語が出てきますが後述します)。

 

  1. ストレスチェック実施事務従事者が従業員に調査票を配布する。
  2. 従業員の回答後、再度、ストレスチェック実施事務従事者が調査票を回収する。
  3. ストレスチェック結果(下図)を医師などの実施者が集計・分析し、高ストレス者の判定を行う。
  4. 実施者は高ストレス者に対して「医師との面談」の案内を行います。

 

ストレスチェックの結果は、実施者から直接本人に通知します。ストレスチェックの実施結果の保存は実施者が行う必要があり、保存期間は5年間とされています。

 

なお、ストレスチェックはITシステムを用いてオンラインで行うこともできます。

 

出典:厚生労働省「ストレスチェック制度簡単!導入マニュアル

 

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〈実施編〉担当者が知っておきたいストレスチェック5つの要点

 

 

ストレスチェック実施に関する5つの要点

続いて、ストレスチェックの実施に関する要点についてです。

 

ストレスチェックを実施・運用するためのポイントを次の5つに絞って紹介します。

 

  1. ストレスチェックに関する社内の方針を決定する
  2. ストレスチェックの担当者と調査票を決める
  3. ストレスチェック結果の「高ストレス者」に対応する
  4. ストレスチェック結果の分析と職場環境の改善(※努力義務)
  5. ストレスチェックの実施について労働基準監督署への報告する

 

それぞれについて以下で解説しますので、概要をおさえておきましょう。

 

【要点①】ストレスチェック制度に関する社内の方針を決定する

ストレスチェックを実施する前に、まずは企業や組織として「誰が」「いつ」「どのように」ストレスチェック制度を運用していくかを決定する必要があります。

 

厚生労働省が公表している「ストレスチェック導入ガイド」によれば、ストレスチェック実施前に決める必要がある方針(項目)について、具体的に以下の8点とされていますす。

 

●ストレスチェックを始める際に決めておくこと(方針)

 

1.ストレスチェックは誰に実施させるのか。

2.ストレスチェックはいつ実施するのか。

3.どんな質問票を使ってストレスチェックを実施するのか。

4.どんな基準でストレスの高い人を選ぶのか。

5.面接指導の申出は誰にすれば良いのか。

6.面接指導はどの医師に依頼して実施するのか。

7.集団分析はどんな方法で行うのか。

8.ストレスチェックの結果は誰が、どこに保存するのか。

出典:厚生労働省「ストレスチェック導入ガイド」より抜粋

 

社内でこの8つの論点を議論した上で、方針を決定します。そしてその内容は規程に明文化し、自事業所および社内に周知し、すべての労働者に伝える事を徹底しましょう。

 

規程を作成する際は、厚生労働省が作成していて参考例があるのでそちらを参照ください。

参考ページ:ストレスチェック制度実施規程

 

 

【要点②】「ストレスチェックの担当者」と「使用する調査票」を決める

ストレスチェックの実施、会社の誰が担当者になる?

労働安全衛生法では、ストレスチェックを実施するためには医師などの「ストレスチェック実施者」と「ストレスチェック実施事務従事者」を決定する必要があることが規定されています

また、ストレスチェックの実施者になれるのは、医師、保健師、そして(検査を行うために必要な知識についての研修であって厚生労働大臣が定めるものを修了した)歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師です。

※実施者と実施事務従事者についてもっと細かく知りたい方は、以下の記事もチェックしておきましょう。

 

 

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ストレスチェックの調査票は何を使えば良い?

 

労働安全衛生法では、厚生労働省が提供する調査票「職業性ストレス簡易調査票」(57項目:下図)を用いてストレスチェックを実施する事が推奨されています。

 

また、「職業性ストレス簡易調査票」を用いてストレスチェックを実施した場合、その後の集団分析では厚生労働省が公開する「仕事のストレス判定図」を用いる事が推奨されています。

 

 

出典:厚生労働省「ストレスチェック導入ガイド」より抜粋

 

 

しかし「ストレスチェックを実施したいけど、初回のためどの調査票を用いれば良いのかわからない」あるいは「せっかくストレスチェックをやるなら従業員の生産性なども計測したい」と考える企業も増えてきています。

 

そのため、外部のストレスチェックサービスを利用するケースも多いようです。

 

ちなみに、ストレスチェックに用いる調査票は労働安全衛生法で、以下のように定義されています。

 

ストレスチェックの定義

 

第 66 条の 10 第1項の規定によるストレスチェックは、調査票を用いて、規則第 52 条の 9 第 1 項第 1 号から第 3 号までに規定する次の3つの領域に関する項目により検査を行い、労働者のストレスの程度を点数化して評価するとともに、その評価結果を踏まえて高ストレス者を選定し、医師による面接指導 の要否を確認するものをいう。

 

1.職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目

2.心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目

3.職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目

 

ストレスチェックの調査票

 

事業者がストレスチェックに用いる調査票は、規則第 52 条の 9 第 1 項第 1 号から第 3 号までに規定する3つの領域に関する項目が含まれているものであれば、実施者の意見及び衛生委員会等での調査審議を踏まえて、事業者の判断により選択することができるものとする。 なお、事業者がストレスチェックに用いる調査票としては、別添の「職業性 ストレス簡易調査票」を用いることが望ましい。

出典:厚生労働省「労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル」より抜粋

 

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【要点③】ストレスチェックの事後措置「高ストレス者」に対応する

ストレスチェックの分析結果から、実施者より「高ストレス者」と判断された労働者から1ヶ月以内に医師の面談希望の申し出があった場合、事業者は申し出から1ヶ月以内に面接指導の場を設ける必要があります。

 

また、面談内容を記録を作成し、事業所で5年間保存する必要があります。

 

医師との面談後、事業者は1ヶ月以内に、就業上の措置の必要性について面談医師に意見聴取することが必要です。

 

面談医師の意見を踏まえて、労働時間の短縮など必要な対策を行います。

 

【要点④】ストレスチェック結果の分析と職場環境の改善に努める(※努力義務)

労働安全衛生法では、ストレスチェックの実施結果から集団分析を行う事が努力義務とされています。

つまり、実施したストレスチェックの結果を活用して「職場の環境が良くなるように努力してください」というルールがあるのです。

せっかくストレスチェックを実施したにもかかわらず、集団分析をもとに改善に努めない場合は、離職や休職のリスクにもつながる恐れがあるので注意します。

 

事業者は、検査を行った場合は、当該検査を行った医師等に、当該検査の結果を当該事業場の当該部署に所属する労働者の集団その他の一定規模の集団ごと に集計させ、その結果について分析させるよう努めなければならない。 2 事業者は、前項の分析の結果を勘案し、その必要があると認めるときは、当該集団 の労働者の実情を考慮して、当該集団の労働者の心理的な負担を軽減するための適切な 措置を講ずるよう努めなければならない。

引用元:労働安全衛生法 第52条の14

 

ちなみに、集団分析とは「部」「課」「チーム」など、特定の集団ごとでストレスチェックの結果を比較して、各集団のストレス状況を分析することを指します。

集団分析を行う事で高ストレス者が多い集団の要因を特定して職場改善に役立てる事が出来ます。

 

 

【要点⑤】ストレスチェックの実施について労働基準監督署への報告する

ストレスチェックの実施結果と高ストレス者の面接指導の実施結果は、毎年、労働基準監督署に所定の様式で報告する必要があります。

 

労働安全衛生法で、ストレスチェックは毎年実施しなければならないと定められていますが、労働基準監督署への報告書提出の期限は具体的に定められておらず、事業所ごとに設定して構わないとされています。

 

そのため、ストレスチェック実施・集計後に各事業所が設定する、期末などのタイミングで忘れずに提出をしましょう。

 

参考ページ:厚生労働省「ストレスチェック制度の実施状況(平成30年度)

 

 

報告書のテンプレートは厚生労働省のホームページから、労働安全衛生規則様式第6 号の2『心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書』のPDFファイルをダウンロードする事が出来ます。

 

 

以上、ストレスチェック制度と実施に関するアウトラインを5つの要点で紹介しました。

全体像を把握することで、運用していくイメージが掴めたのではないでしょうか。

 

ストレスチェックは、「うつ」などのメンタルヘルス不調を未然に防止することを目的としています。

 

面接指導や集団分析という実施後の対応こそが大切です。高ストレス者が生じる要因を特定し、適切な対応ができなければ組織の問題を解決することはできません。

 

そのためには、労働者の健康を守るプロである産業医の活用が1つの効果的な方法です。

 

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