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【2025年度】メンタルヘルスマネジメント検定がわかる10のQ&A-試験日・合格率は?

(更新:

サンポナビ編集部

メンタルヘルス・マネジメント検定 試験日・合格率は?
メンタルヘルス・マネジメント検定 試験日・合格率は?

職場での心の健康管理(メンタルヘルス・マネジメント)の取り組みが重要視される中、

 

メンタルヘルス・マネジメント検定試験」が注目を集めていています。

 

コースの違いや内容、難易度などよくある疑問にお答えします。

 

Q1:メンタルヘルス・マネジメント検定試験とは?

 

A.メンタルヘルス・マネジメント検定試験は働く人たちの心の不調を未然に防ぎ、活力ある職場づくりを目指すために、職場での役割に応じて「メンタルヘルスケア」を学ぶ検定試験です。

 

高度な専門知識や臨床的技術ではなく、メンタルヘルスに関する基礎的知識や、対処方法について学ぶことができます。

 

厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を受け、大阪商工会議所と施行商工会議所が実施しています。

 

職場のメンタルヘルス対策を効果的に進めるためには、

会社としての取り組みとともに、その関係者である人事労務管理スタッフ、管理職、一般社員がそれぞれの役割を認識し、メンタルヘルスに関する正しい知識を持つことが大切です。

 

メンタルヘルス・マネジメント検定では、職場での役割によって3つのコースが設定されているので、ご自身のキャリアに合わせて選択してみてください。

 

Q2:メンタルヘルス・マネジメント検定のコースの種類は?

 

A.試験は、Ⅲ種(セルフケアコース)、Ⅱ種(ラインケアコース)、Ⅰ種(マスターコース)の3コースに分かれています

 

それぞれの対象と学べる内容を確認してみましょう。

 

Ⅲ種(セルフケアコース)

対象:一般社員

 

到達目標:自らのストレスの状況・状態を把握することにより、不調に早期に気づき、自らケアを行い、必要であれば助けを求めることができる

 

Ⅱ種(ラインケアコース)

対象:管理監督者(管理職)

 

到達目標:部下が不調に陥らないよう普段から配慮するとともに、部下に不調が見受けられた場合には安全配慮義務に則った対応を行うことができる

 

Ⅰ種(マスターコース)

対象:人事労務管理スタッフや経営幹部

 

到達目標:自社の人事戦略・方針を踏まえた上で、メンタルヘルスケア計画、産業保健スタッフや他の専門機関との連携、従業員への教育・研修等に関する企画・立案・実施ができる

 

〈受検前の基礎知識〉検定のコース名にある「セルフケア」「ラインケア」とは?

 

◇セルフケア【Ⅲ種の対象】とは

労働者自身がストレスに気付き、対処するための知識、方法を身につけて実施する

 

◇ラインによるケア【Ⅱ種の対象】とは

管理監督者が、心の健康に関して職場環境の改善や労働者への相談対応をする

 

「セルフケアとラインケア」についてもしっておくことが合格へのカギになります。

 

メンタルヘルス対策のPDCAサイクル『4つのケア』をわかりやすく解説の記事でわかりやすく解説していますので、こちらも要チェックです。

 

メンタルヘルス指針によると、メンタルヘルスケアは

 

①セルフケア

②ラインによるケア

③事業場内産業保健スタッフ等(産業医や衛生管理者、保健師ら)によるケア

④事業場外資源(専門的な知識を持つ外部の人やサービス)によるケア

 

の4つのケアが継続的かつ計画的に行われることが重要です。

 

人事労務管理スタッフ、管理職、一般社員、職場内の産業保健スタッフ、外部の専門家…それぞれが、職場のメンタルヘルス対策の担い手になります。

 

Q3:メンタルヘルス・マネジメント検定の各コースにおける出題内容は?

 

A.メンタルヘルス・マネジメント検定試験の公式ページでは、試験出題内容として3つのポイントを示しています。

 

・第一次予防(疾病の未然防止と健康増進)に重点を置いています

・ラインによるケア、組織全体によるケアを促進します

・産業保健だけでなく、人事労務管理の観点も重視しています

 

コース別に、設定されている目的と、出題内容を見てみましょう。

 

Ⅲ種(セルフケアコース) 【一般社員対象】

 

目的は、組織における従業員自らのメンタルヘルス対策の推進。

自身のメンタルヘルス状態に気づき、相談することが出来るようになることが目標。

 

 

●Ⅲ種(セルフケアコース)の出題内容

 

①メンタルヘルスケアの意義

②ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識

③セルフケアの重要性

④ストレスへの気づき方

⑤ストレスへの対処、軽減の方法

⑥社内外資源の活用

 

Ⅱ種(ラインケアコース) 【管理職対象】

 

目的は、部門内、上司としての部下のメンタルヘルス対策の推進。

不調にいち早く気づき、安全配慮義務に則った対応が可能なレベルを目指す。

 

<出題内容>

①メンタルヘルスケアの意義と管理監督者の役割

②ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識

③職場環境等の評価および改善の方法

④個々の労働者への配慮

⑤労働者からの相談への対応 (話の聴き方、情報提供および助言の方法等)

⑥社内外資源との連携

⑦心の健康問題をもつ復職者への支援の方法

 

 

Ⅰ種(マスターコース) 【人事労務管理スタッフや経営幹部対象】

 

目的は、社内のメンタルヘルス対策の推進。

戦略的なメンタルヘルス対策を計画し、専門スタッフとの連携、研修の企画立案等を行なえるレベルを目指す。

 

<出題内容>

①企業経営におけるメンタルヘルス対策の意義と重要性

②メンタルヘルスケアの活動領域と人事労務部門の役割

③ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識

④人事労務管理スタッフに求められる能力

⑤メンタルヘルスケアに関する方針と計画

⑥産業保健スタッフ等の活用による心の健康管理の推進

⑦相談体制の確立

⑧教育研修

⑨職場環境等の改善

 

試験のご紹介」(メンタルヘルス・マネジメント検定試験)をもとに編集して作成
おおまかな試験内容がイメージできましたか?

 

 

Q4:メンタルヘルス・マネジメント検定の過去問はある?

 

A.メンタルヘルス・マネジメント検定試験のパンフレットには過去問題が各コース一問ずつ紹介されています。

 

 

Ⅲ種(セルフケアコース)の過去問

Q. ストレスに関する次の記述のうち、最も不適切なものを一つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

 

①ストレスに気づく主観的な感覚は個人差が大きいので、数値化が可能なチェックリストを活用するのは有用である。

 

②職場ストレスにおいては、仕事で要求される度合いが大きく、自由裁量の度合いが小さく、社会的支援が得られない場合に最もストレスが高くなる。

 

③職場でのストレス要因は、業種や職種、職位などによって変わらず、ほぼ同じようなことがストレス要因となる。

 

④情動焦点型コーピングは、回避、静観、気晴らしなど、ストレス状況に置かれたときに生じる否定的な情動そのものを軽減しようとするコーピングである。

出典:「メンタルヘルス・マネジメント検定試験  “健康経営🄬”推進企業として評価も! 」(メンタルヘルス・マネジメント検定)

Ⅱ種(ラインケアコース)の過去問

Q. 管理監督者自身のメンタルヘルスケアに関する次の記述のうち、最も不適切なものを一つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

 

①「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(厚生労働省、2006年、2015年改正)には、管理監督者は「ラインによるケア」の担い手とされていると同時に「セルフケア」の対象者に含まれること、事業場内産業保健スタッフ等は管理監督者に対するメンタルヘルスケアを行うことが明記されている。

 

②管理監督者自身に対するストレス対策は、労働者に対するセルフケアと同様、「ストレスへの気づき」「ストレスへの対処」「自発的な相談」となる。

 

③ストレスを受けているのに自覚がない場合は、自身のストレスに気づくために定期的にストレスチェックを受けることが有効である。

 

④部下のメンタルヘルス問題に対応するのは管理監督者の役割であるため、部下のプライバシーを守るためにも基本的には管理監督者が単独で対応することが求められる。

出典:「メンタルヘルス・マネジメント検定試験  “健康経営🄬”推進企業として評価も!(メンタルヘルス・マネジメント検定)

 

 

Ⅰ種(マスターコース)の過去問

Q. ストレスチェック制度に関する次の記述のうち、最も適切なものを一つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

 

①ストレスチェック実施事務従事者は、医師、保健師、一定の研修を受けた歯科医師・看護師・精神保健福祉士または公認心理士に限られている。

 

②ストレスチェックの結果、面接指導が必要であると判定された労働者が面接指導の申し出を行った場合には、事業者は保健師による面接指導を行う義務がある。

 

③事業者は、法令に具体的に規定されていなくても、ストレスチェック制度にかかる種々の理由で労働者に対し不利益な取り扱いを行ってはならない。

 

④常時50人以上の労働者を使用する事業者は、2年以内ごとに1回、定期に、心理的負担の程度を把握するための検査結果等報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

出典:「メンタルヘルス・マネジメント検定試験  “健康経営🄬”推進企業として評価も!」(メンタルヘルス・マネジメント検定)

 

 

答えは、 Ⅲ種:③ Ⅱ種:④ Ⅰ種:③ です。

正解できましたか??

試験は公式テキストの内容と、応用から出題されます。

コース別の公式テキストが全国の主要書店で販売されていますので、チェックしてみてください。

 

 

Q5:メンタルヘルス・マネジメント検定に受験資格はあるの?

 

A.受験資格はありません。誰でも希望のコースを受験できます。学歴・年齢・性別・国籍などの制限もありません。

 

 

Q6:メンタルヘルス・マネジメント検定の受験者数はどのくらい?

 

A.令和4年度(2023 年度)公開試験の受験者数は、合計39,386人です。

 

また、過去の公開試験・団体試験の受験者数の推移を見てみると次のようになっており、毎年多くの方が受験しています。

 

2022年度 39,117人

2021年度 3,6826人

2020年度 3,6155人

2019年度 50,756人

2018年度 48,338人

 

 

Q7:メンタルヘルス・マネジメント検定の難易度~合格基準と合格率は?

 

A.上位コースになるほど難易度が上がり、合格率は低くなる。

試験の合格基準と公開試験の合格率を見てみてみましょう。Ⅰ種になると、難易度がぐっと上がることがわかります。

 

 

試験の合格基準

Ⅲ種(セルフケアコース):配点100点中 70点以上の得点

Ⅱ種(ラインケアコース):配点100点中 70点以上の得点

Ⅰ種(マスターコース) :①②の得点の合計が105点以上。但し、論述問題の得点が25点以上。

 

 

試験の合格率

Ⅲ種(セルフケアコース):73.2

Ⅱ種(ラインケアコース):72.1%

Ⅰ種(マスターコース) :20.5%

※Ⅲ種・Ⅱ種は第36回の試験結果、Ⅰ種は第35回の試験結果より。

 

 

2025年度も試験における勉強のポイントは「受験対策のオンライン講座」

メンタルヘルスマネジメント検定試験を運営する大阪商工会議所では、受験対策に有効なオンライン講座を実施しています。

 

オンライン講座では、時間や場所を選ばずに学習することが可能となっておりますので、受験をお考えの方はオンライン講座の情報 (メンタルヘルス・マネジメント検定)についてチェックしておきましょう。

 

 

Q8:2025年度の試験日・申込期限はいつ?

 

A.第39回の試験は2025年11月2日(日)に開催。申し込み期限は2025年9月12日(金)~ 9月25日(木)(一般受付)
  第40回の試験は2026年3月15日(日)に開催。申し込み期限は2026年1月23日(金)~ 2月5日(木)(一般受付)。

 

試験には公開試験と団体特別試験があります。

 

また、2026年3月15日の試験はⅡ種(ラインケアコース)
とⅢ種(セルフケアコース)のみの開催となっており、Ⅰ種(マスターコース)は行われないようです。

 

公開試験

 

年2回(Ⅰ種は年1回)、北海道から九州まで全国15都市の指定会場で一斉に実施しています。

※試験日程の詳細は必ず公式ホームページにてご確認ください。

 

 

団体特別試験

 

企業・団体・学校が、所属する従業員や職員、学生を対象に、メンタルヘルスケアの教育・研修の一環として実施します。

 

団体の都合にあわせて、日時、場所を設定できます。Ⅱ種とⅢ種が対象です。

 

 

 

Q9:メンタルヘルス・マネジメント検定を合格した後の流れは?

 

A.合格後もスキルアップの機会が用意されている。

 

合格者のうち、希望者には合格証明書(メンタルヘルス・マネジメント検定)が発行されます。

 

発行手数料振込は1通につき1,320円(消費税10%込)です。

 

 

また、大阪商工会議所は、Ⅰ種合格者を対象にした「I種合格者フォーラム(メンタルヘルス・マネジメント検定)」(登録無料)を設置しています。

 

メンタルヘルス対策の最新情報やイベント開催のお知らせなどがメールマガジンで届きます。セミナーや交流会にも参加でき、合格後もスキルアップを図ることができます。

 

 

Q10:ほかのメンタルヘルスケア関連資格や研修との違いは?

 

A.誰にでも受験資格があり、試験を通じてメンタルヘルスの基礎が学べる。

 

職場のメンタルヘルスケアを学ぶことができる、ほかの資格や研修との違いはなんでしょうか。

 

メンタルヘルス・マネジメント検定の魅力は、受験資格が設けられておらず、誰でも受験できることです。

 

産業カウンセラーと心理相談員を例に挙げます。

 

 

産業カウンセラー

 

働く人たちが抱える問題を自ら解決できるよう援助する専門家です。

働く人と職場(組織)の両方を支援します。

 

一般社団法人日本産業カウンセラー協会が実施する資格試験を受験できる人は、協会の講座を修了した人か大学院研究科で心理学関係の特定の専攻を修了した人に限られています。

 

心理学やカウンセリングなどの技術や知識について一定の水準を求められているのです。

 

 

心理相談員

 

職場のメンタルヘルス対策に必要な知識を学び、

 

心身に配慮した健康づくりについて理解している人に与えられる名称です。

 

事業主の自主的な労働災害防止活動を促進している「中央労働災害防止協会(中災防)」が実施する研修を修了した人が、心理相談員の名称を使えます。

 

対象者は、大学で心理や社会福祉、保健系の学科を卒業した人や、保健師の資格を持つ人、看護師、助産師、労働衛生コンサルタントの資格を持ち、健康に関する面接や相談の経験が一定以上ある人など、心理やカウンセリング、産業保健に関する知識や経験を持つ人に限られます。

 

 

メンタルヘルス・マネジメント検定は、心理学や産業保健についての専門的な知識や経験はない人でも受験できます。

職場のメンタルヘルスケアについて学びたいという方の基礎的な検定としておすすめです。

 

以上、メンタルヘルス・マネジメント検定試験について、よくある疑問についてお答えしました。

受験する皆さんの合格をお祈りしております!

 

株式会社エムステージでは、産業医や保健師の紹介からメンタルヘルス領域まで、産業保健のあらゆるお悩みに対応するサービスを展開しています。人事労務課題にお困りの方はぜひ一度お問い合わせください。

 

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この記事の著者

サンポナビ編集部

サンポナビ編集部

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