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ストレスチェック実施から報告書提出まで、よくある疑問を解決!

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ストレスチェック実施から報告書提出まで、よくある疑問を解決!

(更新:

ストレスチェックを実施しよう<準備編>」で事前準備が整ったら、いよいよストレスチェックの実施スタートです!

 

ここでは、高ストレス者面接指導、集団分析、結果の保存方法など、ストレスチェック実施にあたってよくある疑問について解説します。

 

<特集>はじめてでも、すぐわかる。産業保健の基礎を学ぼう!

 

STEP1.健康診断の実施
STEP
2.ストレスチェックの実施   今はここ 
STEP
3.安全衛生委員会の立ち上げ
STEP
4.産業医の選任

 

ストレスチェックを受けない社員への対応

 

ストレスチェックを実施することは、会社には義務化されているものの、社員が受検することまでは法的に義務づけられていません。ただ、全ての労働者がストレスチェックを受検することが望ましいため、受検勧奨はしていきましょう。

 

受検勧奨はどの程度まで行えばよいのかは、衛生委員会等で調査審議をして事前に決めておきましょう。ただし、就業規則で受検を義務づけて、受検しない労働者に懲戒処分を行うような、受検を強要するようなことはNGです。

 

詳しくは、「ストレスチェックを拒否する社員にはどう対応すればいいの?」の記事で解説しています。

 

高ストレス者が出た場合、何をすればいいのか

 

 

高ストレスと判定された人が面接指導を希望した場合は、高ストレス者面接指導を実施します。会社は面接を受けさせる義務が発生します。本人が面接指導を希望しない場合は、実施はされません。

 

社員から面接指導を申し出るタイミングは、ストレスチェックの結果が通知されてから、だいたい1か月以内となっています。会社は、その申し出を受けてから1か月以内に面接指導を行うこととされています。

 

このときの注意点として、社員が面接を申し出た場合、「ストレスチェック結果を会社へ提供することに同意した」ものとみなします。そのことを社員が知らなかった場合、事後にトラブルになる可能性もありますので、事前周知をするとともに、面接実施前にも確認をとりましょう。

 

高ストレス者への面接指導は誰が行うのか

 

労働安全衛生法で、面接指導を行うのは医師と規定されています。厚生労働省の「ストレスチェック制度実施マニュアル」の中では、その職場環境をよく理解している専属・嘱託の産業医が推奨されています。

 

自社の産業医が対応してくれない、などの理由で外部の医師に委託する場合でも、より面接指導についての理解がある、産業医資格を有する医師に依頼することが望ましいとされています。

 

集団分析は何をすればいいのか

 

ストレスチェック制度では、集団分析を行うことが努力規定として定められています。集団分析は、部署ごとやチームごとにストレスチェックの結果を集団ごとに比較して分析することで、ストレスの原因を特定し、職場改善を図る分析方法です。個人を特定しない形で行います。

 

国が標準的な項目として示している「職業性ストレス簡易調査票(57 項目)」または「簡略版(23 項目)」を使用する場合は、集団分析には「仕事のストレス判定図」 という厚生労働省が無料で提供する分析ツールを用いる事が推奨されています。

 

このツールを活用することで、部署ごとに「仕事の量的負担」「仕事のコントロール」「上司の支援」「同僚の支援」を可視化することが可能です。集団分析をすることで、ストレスに関係の高い勤務条件、職場環境が見えてきます。それらを対象として、まずはすぐに実施できる対策から始めてみましょう。

 

ストレスチェックの結果をどう保存するのか

 

 

保存が必要な個人記録の内容は、以下の3点です。

 

①個人のストレスチェックのデータ

②ストレスの程度(高ストレスに該当するかどうかを示した評価結果)

③面接指導の対象者か否かの判定結果

 

受検者が記入・入力した調査票原票は必ずしも保存しておく必要はありません。結果の記録の保存は、紙媒体電磁的媒体どちらの方法も可能です。

 

誰が保存をするかは、社員がストレスチェックの結果を会社に提供することに同意しているかどうかによって変わります。

 

会社に提供されないストレスチェック結果の記録

社員の同意がなく、会社に提供されないストレスチェック結果の記録は、実施者または会社が指名した実施事務従事者が保存します。とはいっても、実施者等が個人で保管場所を確保して管理するのではなく、保存方法、保存場所などは、衛生委員会等で調査審議した上で会社が決定します。保存期間は5年が望ましいとされています。

 

会社に提供されたストレスチェック結果の記録

社員の同意により、実施者から会社に提供された結果の記録は、会社が5年間保存しなければなりません。

 

ストレスチェック結果の報告書のルール

 

ストレスチェックを実施した後は、速やかに労働基準監督署まで報告書を提出してください。

 

報告書は、こちらの厚生労働省のWebサイトからダウンロードできます。
>> 心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書

 

ただし、報告書の提出期限は明文化されていません

 

労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル」には、報告書の提出時期は、各事業場における事業年度の終了後など、事業場ごとに設定して差し支えない、と書かれています。ストレスチェック自体は1年に1回の実施が義務付けられていますので、それ以後に忘れずに提出しましょう。

 

まとめ

 

ではここで、学んだことをおさらいしてみましょう!

 

ここがポイント

 

・ストレスチェックを受けない社員へは受験勧奨をする
・高ストレスと判定された人が面接指導を希望した場合は、高ストレス者面接指導を実施する
・面接指導を行うのは医師
・集団分析は、ストレスチェックの結果を集団ごとに比較して分析すること
・会社に提供されたストレスチェック結果の記録は、5年間保存
実施後は、ストレスチェック結果の報告書を忘れずに提出

 

確認しよう!学び度チェック

 

【問題】ストレスチェックで「高ストレス」と判定された社員が希望した場合、高ストレス者面接指導を実施することになります。この面接指導を担当するのは誰?

A.上司

B.人事部部長

C.医師(専属・嘱託の産業医推奨)

正解は‥「C」!

 

労働安全衛生法で、面接指導を行うのは医師と規定されています。厚生労働省の「ストレスチェック制度実施マニュアル」の中では、その職場環境をよく理解している専属・嘱託の産業医が推奨されています。

 

 

 

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