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子育てサポート企業の最高峰「プラチナくるみん認定」

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子育てサポート企業の最高峰「プラチナくるみん認定」

(更新:

国認定のさまざまな”ホワイト企業マーク”について、非営利一般社団法人安全衛生優良企業マーク推進機構(SHEM)の木村誠理事長が、それぞれの取得のメリットや取得に必要な条件をシリーズで紹介します。

 

5回目は「プラチナくるみん認定」です。

 

木村 誠(きむら・まこと)

 

 

非営利一般社団法人安全衛生優良企業マーク推進機構理事長。

 

1968年、長野県生まれ。東洋大学法学部卒業。

 

1991年、第一生命保険相互会社(現第一生命保険株式会社)入社。2003年、株式会社ユニバーサルステージ設立。代表取締役(現任)

 

2015年、非営利一般社団法人安全衛生優良企業マーク推進機構(SHEM)設立

 

前回の記事では、子育て支援企業の証となる厚生労働省の「くるみん認定」をご紹介しました。くるみん認定は、東京証券取引所に上場している全企業の1割以上が取得しており、就活生の認知度も高いメジャーなホワイト企業マークですが、さらに高い水準が求められる「プラチナくるみん認定」があることをご存じでしょうか。

 

今回は、プラチナくるみん認定の認定状況、取得のメリット、認定基準についてご説明します。

 

プラチナくるみん認定とは?

 

 

プラチナくるみん認定は、くるみん認定を取得した企業がさらに高い基準をクリアした場合に「特例認定」として取得できます。「次世代育成支援対策推進法」に基づき、厚生労働省が2015年から認定をスタートしました。

 

プラチナくるみんの認定を受けるためには、くるみん認定の基準10項目を上回る12項目を満たす必要があります。認定企業にはプラチナくるみんマークが付与され、自社製品やホームページ、求人広告などに使用することが可能です。

 

プラチナくるみんの認定数は4年で3倍強に

 

参照:厚生労働省

 

プラチナくるみんの認定数は初年度に比べて3倍以上の認定数に達しています。伸び率ではくるみん認定を上回っており、今後もさらに取得企業は増加していくでしょう。

 

プラチナくるみん認定取得のメリット

 

プラチナくるみんは、くるみん認定よりも高い基準が求められますが、取得の労力に見合ったメリットが期待できます。

 

就活生に強く刺さるアピールポイントに

プラチナくるみん自体は比較的最近始まった認定制度ですが、先に始まったくるみん認定は15年以上も実施されており、認定企業数は3,000を超えています。そのため、くるみん認定は、就活生の認知度が高いのが特徴です。その「くるみん」の上に「プラチナ」と付くホワイト企業マークが、就活生の大きな注目を集めることは想像に難くないでしょう。

 

つまり、くるみん認定によって大きな注目を浴びることができ、なおかつくるみん認定企業に一歩先んじた差別化が可能という2つのメリットを合わせ持つのがプラチナくるみんの強みなのです。

 

12色から選べる認定マーク

認定マークを製品や名刺、広告などに使用できるのがホワイト企業マークの魅力ですが、たとえば「くるみんマークを取得したけれど自社のカラーに合わない」と使用に二の足を踏む企業も多いのではないでしょうか。その点、プラチナくるみんマークは12のカラーリングが用意されており、自社のイメージに合わせて選べる点が魅力です。

 

引用:大分労働局

 

公共調達の加点評価で優遇措置

プラチナくるみんを取得した企業に対しては、総合評価落札方式または企画競争による公共調達において加点評価がなされるよう、国の指針で定められています。この点はくるみん認定も同じなのですが、プラチナくるみんではより高い配点がなされます。

 

〈公共調達における参考配点例〉

参照:厚生労働省

 

プラチナくるみん認定の認定基準は12項目

 

プラチナくるみん認定を取得するためには、以下12項目の認定基準を全て満たす必要があります。くるみん認定の基準よりも2項目多く、一部の基準がより厳しいものになっているのが特徴です。

 

【認定基準1】雇用環境の整備について、行動計画策定指針に照らし適切な一般事業主行動計画を策定すること

 

【認定基準2】行動計画の計画期間が2年以上5年以下であること

 

【認定基準3】行動計画を実施し、計画に定めた目標を達成していること

 

【認定基準4】平成21年4月1日以降に策定・変更した行動計画を公表し、労働者への周知を適切に行っていること

 

【認定基準5】男性の育児休業等取得について、次の①または②を満たすこと

 

①配偶者が出産した男性労働者のうち育児休業等を取得した者の割合が13%以上いること

 

②配偶者が出産した男性労働者のうち育児休業等を取得した者及び育児休業等に類似した企業独自の休暇制度を利用した者の割合が30%以上、かつ、育児休業等を取得した者が1人以上いること

 

【認定基準6】計画期間において、女性労働者の育児休業等取得率が75%以上であること

 

【認定基準7】3歳から小学校就学前の子を育てる労働者について「育児休業に関する制度、所定外労働の制限に関する制度、 所定労働時間の短縮措置又は始業時刻変更等の措置に準ずる制度」を講じていること

 

【認定基準8】労働時間数について、以下の両方を満たすこと

 

①常勤の労働者等の法定時間外・法定休日労働時間の平均が各月45時間未満であること

 

②月平均の法定時間外労働60時間以上の労働者がいないこと。

 

【認定基準9】次の①~③すべてに取り組み、①または②について数値目標を定めて実施し、達成すること

 

①所定外労働の削減のための措置

 

②年次有給休暇の取得の促進のための措置

 

③短時間正社員制度、在宅勤務、テレワークその他の働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置

 

【認定基準10】計画期間において、次のいずれかを満たすこと

 

①子を出産した女性労働者のうち、子の1歳誕生日に在職(育休中を含む)している者の割合が90%以上

 

②子を出産した女性労働者および子を出産する予定であったが退職した女性労働者のうち、子の1歳誕生日に在職(育休中を含む)している者の割合が55%以上

 

【認定基準11】育児休業等を取得し、または子育てをする女性労働者が就業を継続し活躍できるよう、能力向上やキャリア形成のための支援などの取り組みを計画・実施していること

 

【認定基準12】法および法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がないこと

 

 

くるみん認定との違いは、項目の追加や基準の引き上げなどいくつかあるのですが、特に基準が厳しくなっているのは【認定基準9】でしょう。くるみん認定の場合は3項目のうちいずれか1つにおいて目標を定めて実施すればクリアとなりました。一方、プラチナくるみんの場合は、すべての項目に取り組む必要があり、なおかついずれか1つで数値目標を達成する必要があります。

 

プラチナくるみん認定までのフロー

 

 

冒頭でご説明したように、プラチナくるみんの認定を受けるには先だってくるみん認定を取得する必要があります。認定までのフローをくるみん認定の取得から順に確認しておきましょう。

 

①行動計画の策定

 

次世代法に基づき、目標、目標達成のための対策と計画期間を策定します。社内で仕事と子育ての両立の障害となっている事項や、従業員のニーズを把握することが大切です。

 

②行動計画を一般公表し、従業員に周知する

 

行動計画の策定からおおむね3カ月以内に実施します。一般公表の手段としては、厚生労働省が運営するウェブサイト「両立支援のひろば」への掲載や自社サイトへの掲載などがあります。従業員への周知には社内掲示やメール送付などがいいでしょう。

 

③行動計画を策定した旨を届け出る

 

こちらも、行動計画の策定からおおむね3カ月以内に済ませるようにします。必要なのは策定届のみで行動計画自体の提出は不要です。都道府県の労働局へ、持参、郵送、電子申請などにより届け出ます。

 

④行動計画の実施

 

計画に沿った目標達成への取り組みを実施します。

 

⑤行動計画期間の終了後、くるみん認定の申請を行う

 

認定基準を満たしたら、都道府県の労働局に申請します。問題がなければくるみん認定取得となり、認定マークが付与されます。

 

⑥プラチナくるみん認定の申請

 

くるみん認定後の行動計画の期間が終了した後に都道府県の労働局へプラチナくるみんの認定申請を行います。

 

⑦プラチナくるみんマークの付与

認定基準を満たしていれば、認定マークが付与されます。

 

なお、くるみん認定の申請対象となった行動計画をそのままプラチナくるみんに流用することはできません。新たに行動計画を策定・実施し、基準を満たす必要があります。

 

まとめ

 

プラチナくるみんは近年認定がスタートした制度ですが、くるみん認定の認知度が高いため取得企業は大きな注目を集めることができるでしょう。くるみん認定の取得に取り組むのであればプラチナくるみんも視野に入れてみてはいかがでしょうか。

 

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