健康管理システムとは?メリットやデメリット、失敗しない選び方を紹介
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健康管理システムとは、従業員の健康診断結果やストレスチェックのデータを集約、分析するためのツールです。「健康診断結果の管理を効率化したい」「健康リスクのある従業員を漏れなく把握したい」といった健康管理上の課題解決に役立ちます。
しかし、「システムの選び方がわからない」「導入する価値があるのか」と迷う人事労務担当者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、健康管理システム導入のメリットとデメリット、失敗しないための選び方を解説します。自社に適した健康管理システムを選ぶための判断として、ぜひ参考にしてみてください。
健康管理システムとは?
健康管理システムとは、従業員の健康に関するデータを集約し、一元管理するシステムです。
健康診断やストレスチェック結果に加え、従業員の健診予約や結果通知など、健康管理全般の事務作業を効率化します。
具体的には、主に以下の5つの機能があります。
- 健康診断データの一元管理(判定結果のフォーマット標準化、就業判定など)
- ストレスチェック結果の管理(レポート出力、高ストレス者の抽出など)
- 労働時間管理(残業時間の把握、産業医面談対象者の抽出)
- 産業医面談のスケジュール管理(従業員への面接指導状況の管理)
- 労働基準監督署への報告書作成
健康経営優良法人2020レポートによると、約50%弱の企業が健康管理システムの導入や刷新に取り組んでいます。
働き方改革や健康経営®推進の重要性が叫ばれる中、普及率が高まりつつあります。
「健康経営銘柄2020 選定企業 紹介レポート」(経済産業省)を編集して作成
健康管理システム導入のメリット
健康管理システムの導入により、以下の5つのメリットがあります。
- 健康情報の一元管理により業務効率化できる
- ハイリスクな従業員を早期発見しやすくなる
- 法令遵守を徹底しリスクを減らせる
- 健康経営優良法人に認定されやすくなる
- データにもとづく積極的な健康投資ができる
健康情報の一元管理により業務効率化できる
健康診断やストレスチェック結果、長時間労働者のデータなど、散在する情報を1か所に集約し、負担を軽減できます。
また、健診結果の入力や受診勧奨、報告書作成なども自動化され、作業時間が短縮されます。
次に行うべき作業が一目でわかるタスク管理機能があると、業務の抜け漏れを防げるでしょう。
さらに、紙媒体をデジタル化できるため、必要な情報を検索しやすく、保管スペースの削減にもつながります。
ハイリスクな従業員を早期発見しやすくなる
健診機関ごとに異なる検査項目や基準値を統一してデータに取り込めるため、自社基準での健康リスク判定をしやすくなります。
データの集計や年度ごとの比較も容易になり、健康リスクの高い従業員を早期に発見し、適切なアプローチが可能です。
さらに、産業医面談の予約や記録管理もシステム上で一元化できるので、事後フォローの体制強化につながります。
法令遵守を徹底しリスクを減らせる
労働安全衛生法や労働基準法で義務付けられている健診結果報告などを、漏れなく実施できます。
健診結果報告書は、実施後に遅滞なく提出が求められており、長期間怠ると労働基準監督署から指導をうけるリスクがあります。
健康管理システムにより健診結果を一元化し、報告書作成機能を活用することで、法的リスクの低減にもつながるでしょう。
健康経営優良法人に認定されやすくなる
健康経営優良法人認定に必要なデータを効率的に収集できるため、認定されやすくなります。
「健康経営優良法人」とは、健康経営の取り組みが特に優れた企業を選ぶ経済産業省の認定制度です。
認定申請時には、健康診断受診率や健康管理に関する取り組みの効果など、数値で示す情報が求められます。
健康管理システムにより、効果測定のデータを集めやすくなるため、認定取得にかかる手続きが軽減できるでしょう。
「ACTION!健康経営(日本経済新聞社)」をもとに編集して作成
データにもとづく積極的な健康投資ができる
健康課題を可視化することで、データにもとづく健康投資が可能になります。
以下のように、医療費の減少は生産性向上に関連するとされており、健康課題への対処は人的投資の観点からも有用です。
- 一人当たりの生活習慣病医療費が1万円減少→翌年の労働生産性が 1.9%上昇する可能性がある
- メンタルヘルス関連医療費が 0.1 万円減少→当年の利益率が 0.008%ポイント、翌年の利益率が 0.013%ポイント上昇する傾向がある
健康管理システムにより、部門別・年代別に分析することで、多角的な視点から健康課題を見える化できます。
生活習慣病やメンタルヘルス不調のリスクがある従業員を特定し、適切な対処につなげることで、生産性の向上につながるでしょう。
「健康と労働生産性の関係に関する労働経済学的研究」(厚生労働科学研究成果データベース)を編集して作成
健康管理システム導入のデメリット
健康管理システムは、業務効率化だけでなく、法令遵守や健康経営の観点からも有用なシステムです。
一方で、導入に当たっては以下のようなデメリットもあります。
- 自社のニーズに合わない場合がある
- データ管理上のリスクがある
- 費用対効果がわかりにくい
自社のニーズに合わない場合がある
健康管理システムは機能が豊富なため、すべての機能を効果的に活用しにくい場合があります。
企業独自の運用フローや、取り組んでいる施策などがある場合、健康管理システムの標準機能との相性が悪いケースも少なくありません。
また、必要のない機能が多いと、かえって人事労務担当者と従業員のやりとりが複雑化し、効率が低下する恐れもあります。
データ管理上のリスクがある
健康情報は非常に機密性の高い個人情報です。
そのため、システム管理を行う上では、セキュリティやプライバシー保護に関するリスクがつきまといます。
特に、自社専用サーバーを使わないクラウド型サービスを利用する場合、データ漏えいに不安がある企業も多いでしょう。
また、自社でセキュリティ対策を行う際に、役職や部署ごとにアクセス権限を設定して管理する対応が重要となります。
しかし、権限設定が複雑だと、管理が煩雑化するという課題も生じがちです。
費用対効果がわかりにくい
健康管理の効果は短期間では数値化しにくく、費用対効果がわかりにくいでしょう。
一方で、健康管理システムの導入には、初期費用と継続的な運用コストが発生します。
そのため、予算確保のための社内調整や説明に苦労する可能性があります。
失敗しない健康管理システムの選び方
健康管理システムの導入には、メリットだけでなくデメリットも考慮した選び方が大切となります。
失敗しない健康管理システムの選び方について、次の5つのポイントを解説します。
- 自社の健康課題と導入目的を明確にする
- 企業規模と業種にあったシステムを選ぶ
- 他のシステムとの連携しやすさを検討する
- セキュリティ対策が万全かを確認する
- 初期費用と運用コストを比較する
自社の健康課題と導入目的を明確にする
自社が抱える健康管理上の課題を洗い出し、それに直結する機能を導入しましょう。
例えば、「従業員数や部署数が増えて健診データ管理が煩雑化している」場合、データの一元管理に絞ったシステム選定を行います。
また、健診結果の電子化が目的の場合は、ベンダーから提案された方法で、どの程度の工数削減が見込めるかを検討しましょう。
課題と必要機能を明確にし、無駄な機能への投資を避けることで、費用対効果の高いシステムの導入が期待できます。
企業規模と業種にあったシステムを選ぶ
従業員数や業種に適したシステム選びも重要です。
例えば、従業員50人未満の小規模な企業では、対応件数が少ないので、担当者と従業員がシステムを介さずに直接やりとりをする方が効率的である場合があります。
また、製造業や建設業などの業種では、特殊健康診断に対応できるシステムがあるかどうかを確認する必要があります。
さらに、複数の事業拠点がある場合は、クラウド型でどこでもアクセス可能なシステムが適しているでしょう。
他のシステムとの連携しやすさを検討する
人事・勤怠管理システムやストレスチェックシステムなど、他のシステムとの連携が可能な健康管理システムの場合、さらに業務効率化が進みます。
データのインポート・エクスポート形式を確認し、自社に導入しているシステムと連携できるかをチェックしておきましょう。
健康管理に必要な情報システムを一括で提供できるベンダーを選定することが理想的です。
導入コストは大きくなるものの、長期的な運用を考慮すると効果的な方法といえるでしょう。
セキュリティ対策が万全かを確認する
システム選定時には、健康情報のセキュリティ対策が万全かの確認が重要です。具体的には、以下の点をチェックしましょう。
- プライバシーマークやISMS認証などの第三者認証取得状況
- アクセス権限設定の柔軟さ(役職や部署ごとに閲覧可能情報を制限できるか)
- 操作ログの記録と監査機能の有無
- 定期的なセキュリティアップデートの実施状況
万一の情報漏えいは、企業の信頼を大きく損なう可能性があります。
セキュリティ面の安全性は詳しくチェックしておきましょう。
初期費用と運用コストを比較する
健康管理システムにかかる費用は、初期費用だけでなく長期的な運用コストも含めて比較しましょう。
クラウド型は初期費用が安く月額費用がかかります。
自社サーバーを設置するオンプレミス型は初期費用は高いものの、長期的には割安になる場合があります。
また、従業員数によって料金が変わるシステムも多く、将来的な従業員数の増減も考慮したコストの算出が必要です。
5年程度の長期的な視点で運用コストを算出し、費用対効果の高いシステムを選びましょう。
HealthCoreが選ばれる3つのポイント
健康診断データ共通フォーマット変換で一元管理を実現
HealthCoreは、異なる医療機関から提供される健康診断データを共通のフォーマットに自動変換し、一元管理が可能です。
人間ドック学会の標準規格にいち早く対応し、異なる検査項目を統一してインポートできます。
複数の健診機関を利用する企業でも、データの収集や整理にかかる工数の削減につながります。
また、健康データにもとづく戦略的な健康経営推進が可能となるでしょう。
わかりやすいマイページで従業員のヘルスリテラシー向上へ
従業員一人ひとりに専用マイページを提供し、ストレスチェック受検や面接指導の申出、健康診断結果の確認などを行えます。
また、マイページを通じた企業からの健康情報や相談窓口などの発信も可能です。
ストレスチェックとエンゲージメントサーベイを標準装備
ストレスチェック「Co-Labo」とエンゲージメントサーベイ「Qraft」を標準装備。
身体的健康だけでなく心理面、組織面の健康状態をトータルで管理できます。
特に、「健康診断有所見者かつ高ストレス者」など、複数条件での従業員抽出が可能です。
健康リスクの高い従業員を早期に発見し、フォローアップにつなげられます。
健康管理に関するコミュニケーションを円滑にし、従業員のヘルスリテラシーの向上に貢献します。
資料請求は無料ですのでお気軽にお問合せください。
※健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
※HealthCoreは株式会社ヒューマネージとの業務提携により株式会社エムステージがサービスを提供しております。