健康経営優良法人のメリットとは?「意味ない」で終わらせない推進のポイント
サンポナビ編集部


健康経営®優良法人の認定取得を検討しているものの、「具体的なメリットがわからない」「意味がないという声が多い」とためらっていませんか?
健康経営優良法人を取得する主なメリットは、以下の5点です。
・採用活動の強化
・離職率の低下、パフォーマンス向上
・社会的信用、企業認知度の向上
・金利引き下げ、優遇金利の適用
・補助金採択や公共入札での優遇
本記事では、健康経営優良法人のメリット・デメリットから、具体的な申請プロセス、2027年の最新変更点までを網羅的に解説します。
認定取得の価値や、今から取り組むべき内容を把握するための参考にしてみてください。
〈編集部注〉申請期間や認定の基準等については記事作成時点での情報です。必ず経済産業省などのホームページにて確認してください。
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健康経営優良法人とは?

健康経営優良法人認定制度とは、経済産業省が平成28年度に創設した認定制度です。
従業員の健康管理を経営的な視点で捉えて戦略的に実践する「健康経営」に取り組む優良法人を「見える化」することを目的とし、日本健康会議により認定を行います。
昨年度の「健康経営優良法人2026」には大規模法人部門3,765法人、中小規模法人部門では23,085法人が認定されました。
大規模法人部門・中小規模法人部門の違い
健康経営優良法人の認定は、企業の規模に応じて二つの部門にわかれています。
大規模法人部門と中規模法人部門のどちらに該当するかは、業種と常時使用する従業員の人数、資本金または出資金額によって決まります。
自社がどの申請区分に該当するか「ACTION!健康経営」(日本経済新聞社)の「申請について」のページをご確認ください。
なお、各部門の中で特に優秀な企業を対象とした「ホワイト500」「ブライト500」「ネクストブライト1000」などの上位認定制度や、上場企業を対象とした「健康経営銘柄」も設けられています。
健康経営優良法人の認定取得による5つのメリット

健康経営優良法人の認定取得は、企業にさまざまなメリットをもたらします。
具体的なメリットは、以下の5つです。
1.採用活動の強化
健康経営優良法人の認定を受けることで、ハローワークの求人票や求人広告、自社HPなどへの記載・掲載が可能になります。
健康経営優良法人認定事務局が2023年9月に実施した調査によると、就活生・転職者の60.4%が「健康経営への取り組みが、就職先の決め手の一つとなる」と回答しました。
「健康経営優良法人に認定されている」という、客観的なアピールによって求職者の注目を集めることで、優秀な人材の獲得と採用コストの適正化が期待できます。
2.離職率の低下、パフォーマンス向上
「厚生労働省2021年(令和3年)雇用動向調査」による離職率の全国平均が11.1%に対して、健康経営優良法人2023認定企業の離職率は4.6%と、大幅に低い傾向にあります。

※健康経営の推進について(経済産業省)を編集して作成
また、心身の不調を抱えたまま働くことによる生産性の低下(プレゼンティーイズム)を抑制することで、集中力の低下やミスを防いで業務の精度とスピードを底上げします。
さらに、健康増進の取り組みを通じて従業員同士のコミュニケーションが活発化し、互いに支え合う良好な職場環境が醸成されます。これによりチーム全体のモチベーションや働きがい(エンゲージメント)が高まり、組織全体のパフォーマンスおよび生産性の向上へと繋がります。
3.社会的信用や企業認知度の向上
健康経営優良法人の認定ロゴマークの使用許可や、ACTION!健康経営への社名掲載により、従業員・取引先・消費者といったステークホルダーからの信頼性が向上します。
また、近年注目を集める「人的資本経営」の実践企業として社内外に評価され、投資家をはじめとするステークホルダーからの評価や、企業価値・認知度の向上が期待できます。
4.金利引き下げ、優遇金利の適用
認定を取得することで、金融機関から「事業の安定性が高くリスクが低い」と評価されやすくなります。
これにより、一部の地方銀行や信用金庫などの金融機関では、融資金利の引き下げをはじめとする融資優遇措置を受けられ、より有利な条件での資金調達と事業成長が可能になります。
5.補助金採択や公共入札での優遇
国の「ものづくり補助金」をはじめとする各種補助金制度の審査において、加点措置を受けられる場合があり、採択率の向上が見込めます。
さらに、地方自治体の公共工事等の入札参加資格審査でも加点評価されるケースがあり、建設業などを中心に他社に対する競争優位性を獲得できます。
健康経営優良法人のデメリットと推進のポイント

健康経営優良法人の認定はメリットが多い一方で、いくつかデメリットもあります。認定取得を目指す企業が直面しがちなデメリットは、以下の3つです。
- コストや手間・時間がかかる
- 効果がみえにくい
- 社内への浸透が難しい
1.コストや手間・時間がかかる
健康経営優良法人の認定取得のためには、申請準備や施策の実行に人的・金銭的なコストが生じます。
申請書作成や、認定に必要な健康増進イベントの運営など、担当者には相応の負担がかかるでしょう。
【推進ポイント】
健康経営の取り組みに関連して利用ができる、助成金や補助金がないか探してみましょう。
働き方改革推進支援助成金や、キャリアアップ助成金などがあります。
また、自社だけで全てを担うのではなく、産業医や外部のコンサルティングサービスに相談し、専門的な知見やリソースを活用し効率化するのも有効な手段です。
2.効果がみえにくい
生産性向上や離職率低下といった健康経営の効果は、すぐには表れにくいものです。そのため、かけたコストに対して効果が実感できず「意味がない」と感じてしまうケースも少なくありません。
【推進ポイント】
まずは実現可能な改善目標を定め、具体的なKPIを設定することが不可欠です。
例えば、「特定保健指導の実施率」「ストレスチェック後の高ストレス者率」などを目標に設定します。
KPIを設定することで、費用対効果の可視化につながるとともに、社内で目標達成に向けた行動を共有しやすくなります。
3.社内への浸透が難しい
健康増進のための施策が、全ての従業員に受け入れられるとは限りません。従業員によっては「業務時間外のイベントには参加したくない」などの不満の声が上がる可能性もあります。
【推進ポイント】
従業員に健康経営の必要性を理解してもらうには、経営トップが自らの言葉で健康経営の重要性を繰り返し発信することが大切です。
また、施策を一方的に押し付けるのではなく、アンケートなどで従業員の意見を吸い上げ、ニーズに合ったプログラムを企画することが、社内へのスムーズな浸透につながります。
このような懸念を解消し、実際に成果を出している企業はどのような施策を行っているのでしょうか。
社員の参加率を高め、生産性向上や組織活性化へと結実させている実効性の高い企業事例については、以下の記事で詳しく解説しています。
自社での取り組みをカタチだけのものにしないためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。
健康経営優良法人2027認定要件 改訂のポイント
健康経営優良法人の認定要件は毎年改訂が行われます。
過去に認定を取得した企業であっても、毎年の変更点を正しく把握し、最新の要件に合わせた取り組みのアップデートや体制整備を行うことが不可欠です。
令和8年度の改訂において、特に注目のポイントは以下の3点です。
1. ホワイト500要件の厳格化
これまで求められていた、自社やグループ会社、取引先など、「企業間での健康経営の普及・支援」に加え、「他社からの派遣社員や、従業員の家族への健康支援」が認定要件として追加されました。
また、従来は経営トップや担当者など「発信・推進側」の動きが中心でしたが、令和8年度からは「従業員側の理解・促進」まで含めた取り組みが求められます。
2. 「適切な働き方の実現」と「長時間労働対策」の再構成
「労働時間の適正化」と「長時間労働者への対応」が、ひとつの評価項目に整理され、予防から事後対応まで一貫した対策が求められるようになりました。
- 大規模部門:「労働時間の適正化(予防)」と「長時間労働者への対応(事後対策)」の両方の実施が必須です。
- 中小規模部門: 今回は「どちらか一方」で要件を満たしますが、次年度(令和9年度)から双方必須化される予定のため、早めの準備が推奨されます。
3. 経済産業省の重要政策と連動した「先進的取り組み」の把握・推進
国が注力する「PHR(パーソナルヘルスレコード)活用」「睡眠に関する取り組み」「健康投資の実態把握」といった政策テーマとの連動した設問が追加されました。
健康経営優良法人2027の認定要件について、詳細はこちらの記事をご覧ください。
健康経営優良法人に関するQ&A

健康経営優良法人制度に関するよくある疑問と回答をまとめました。疑問点を解消して、自社で何に取り組むべきかを具体化しましょう。
Q.中小企業でも取り組むメリットはありますか?
A.中小企業にとっても大きなメリットがあります。
地方銀行の融資優遇や公共事業の入札加点といった直接的な経済的メリットは、経営の安定につながります。
また、人材不足が課題となりがちな中小企業にとって、採用力の強化や人材の定着もメリットです。
まずは、コストを抑えて始められる健康情報の定期的な発信やウォーキングイベントの開催などから検討するのがおすすめです。
Q.ホワイト500やブライト500に選ばれるにはどうすればいいですか?
A.ホワイト500やブライト500は、健康経営優良法人認定よりも高い基準が設定されています。
加えて、認定基準を満たすだけでなく、健康経営度調査の結果が他の申請企業よりも高い水準にあることが必要です。
特に、自社の健康経営に関する取り組み状況や成果を社外へ積極的に情報開示しているかどうかが、評価項目の一つとして重視されます。
上位認定を目指す場合は、戦略的な情報発信も意識しましょう。
Q.健康経営優良法人認定取得後の注意点はありますか?
A.認定取得をゴールにするのではなく、「いかに活用して企業の成長につなげるか」が重要です。
プレスリリースの配信や自社サイトでのアピールなど、社内外への広報活動を積極的に行いましょう。
また、認定を維持するためには、取り組みを継続しつつ、毎年申請する必要があります。
担当者の異動があっても取り組みが形骸化しないように推進チームを設置するなど、運用体制を整えておくことが大切です。
専門家のサポートで戦略的な健康経営の第一歩を
健康経営優良法人の認定は、企業の価値向上につながる多くのメリットをもたらします。一方で、申請準備には手間がかかり、人事労務担当者の負担は少なくありません。
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