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健康診断業務のアウトソーシングとは?健診代行サービスの費用と選び方

(更新:

片桐はじめ

健康診断業務のアウトソーシングアイキャッチ
健康診断業務のアウトソーシングアイキャッチ

従業員の健康診断を実施するにあたり、予約管理や未受診者への連絡、結果の集約など、人事労務が行うべき事務作業は多岐にわたります。健診診断の事務作業が通常業務を圧迫している場合、アウトソーシングの活用が有効です。

 

しかし、「アウトソーシングをすることで本当にメリットがあるのか?」「どのサービスが自社に合うか?」と悩む人事労務担当者の方も多いでしょう。

 

本記事では、健康診断業務をアウトソーシングするメリット・デメリットを解説します。さらに、費用の相場や選び方のポイントも説明していますので、健康診断業務の効率化にお悩みの方は、ぜひご参考にしてみてください。

 

健康診断業務をアウトソーシングするメリット

 

健康診断業務をアウトソーシングするメリット

 

健康診断のアウトソーシングは、業務効率化だけでなく、企業の健康経営®推進にも多くのメリットがあります。具体的には以下の3つです。

 

  • 人事労務担当者の業務負担を軽減できる
  • コストを削減しつつ受診率向上を目指せる
  • 健康経営のために戦略的なデータ活用ができる

 

1.人事労務担当者の業務負担を軽減できる

健康診断のアウトソーシングの対応範囲は委託会社によって異なりますが、一般的には以下のような業務に対応しているケースが多く見られます。

 

  • 医療機関との調整
  • 従業員の予約管理
  • 未受診者への連絡、受診勧奨
  • 結果フォーマットの標準化
  • 労働基準監督署への提出書類作成

 

健診業務に充てていた人事労務担当者の時間を、メンタルヘルス対策や従業員の満足度向上など、他の施策に割けるようになるでしょう。

 

2.コストを削減しつつ受診率向上を目指せる

 

健康診断のアウトソーシングをすることで、中長期的にはコスト削減が見込まれます。社内で健康診断業務を専門に行う人材の新規採用と教育をする必要がなくなり、人件費削減が期待できるでしょう。

さらに、業務の属人化を防止できるため、担当者の異動時にも円滑に引継ぎが行えます。

 

また、委託会社は専門的なノウハウを持っており、健診予約の簡素化や未受診者へのフォローアップを細かく行います。

例えば、健診予約がWeb上で可能なシステムや、未予約者へのリマインドメールなど、人事部門では手が回らない対応も可能です。従業員が健康診断を受診しやすくなり、受診漏れも防止できるため、受診率向上を目指せるでしょう。

 

3.健康経営のために戦略的なデータ活用ができる

健康管理業務全般のサービスを取り扱う委託会社の場合、健康診断結果にもとづく従業員のデータ管理や分析もアウトソーシング可能です。

データを活用した戦略的な健康施策を実行しやすくなり、健康経営推進の基盤づくりにつながります。例えば、以下のように従業員の健康状態が可視化され、適切な対策を講じられます。

 

  • 有所見率の高い部署や職種の特定
  • 生活習慣病リスクの高い従業員層の把握
  • 健康増進施策実施後の効果測定

 

健康データを活用して、生産性向上やプレゼンティーズム改善を実現することで、企業の競争力強化につながるでしょう。

 

健康診断業務をアウトソーシングするデメリット

 

健康診断業務をアウトソーシングするデメリット

 

健診業務の効率化につながる一方で、アウトソーシングには以下のような注意点もあります。

 

  • 情報漏えいのリスクがある
  • 自社の事情を汲みにくい

 

1.情報漏えいのリスクがある

従業員の健康データは、個人情報保護法でも「要配慮個人情報」として特に厳格な取扱いが求められます。要配慮個人情報の取得には、原則として本人の同意が必要です。そのため、第三者に情報が漏れた場合の影響は大きく、企業の信頼を損ないかねません。

 

情報漏えい防止のためには、プライバシーマークを取得している信頼性の高い委託会社を選ぶことが重要です。また、契約時には情報セキュリティに関する条項を明確に定め、セキュリティ体制や責任の所在を確認しておく必要があります。

 

健康情報は慎重に扱う意識を持ち、委託会社任せにせずに自社で的確な管理体制を整備しましょう。

 

「要配慮個人情報」とはどのようなものを指しますか。また「要配慮個人情報」にかかる留意点は何でしょうか。 (個人情報保護委員会)を編集して作成

 

2.自社の事情を汲みにくい

健康に関する企業の方針や、従業員の勤務体系など、社内の事情を理解してもらうことが難しく、ミスコミュニケーションが生まれる可能性があります。

委託会社の担当者と連絡がタイムリーに取れず、急な日程変更に対応が間に合わなかったり、電話やメールでのやりとりによる情報の抜け落ちや誤解が生じたりする可能性があります。

 

どこまで柔軟なコミュニケーションができるかは、委託先によって異なります。導入前に複数の委託会社の事例を集め、自社の課題解決をサポートしてくれるような、対応力の高いサービスを選ぶことが大切です。

 

健診代行サービスの費用相場

 

健診代行サービスの費用相場

 

健康診断のアウトソーシングは、料金体系がやや複雑なため、導入時に必要な費用をイメージしにくいでしょう。

よくある料金体系は主に以下の2パターンです。

 

・初期費用+固定の月額料金

・初期費用+従業員数に応じて変動する月額料金(従業員数×数百円など)

健診結果のデータ化や労働基準監督署への報告書作成などはオプションとして追加費用が発生するケースが多いです。従業員数やアウトソーシングする範囲をあらかじめ明確にし、導入後の運用を想定して見積依頼をしましょう。

 

健診予約システムのサーバーの保管場所で費用が異なる

従業員の予約管理をする「健診予約システム」のサーバーには、自社内に専用サーバーを構築するオンプレミス型と、web上のサーバーを利用するクラウド型の2種類があります。

 

オンプレミス型は自社のネットワーク内で運用するため、セキュリティが高まりますまた、システムを柔軟にカスタマイズすることができ、自社にあわせた効率的な運用が可能です。

クラウド型と比べて、高額な初期費用と月額固定費がかかりますが、セキュリティの安全性やカスタマイズ性を重視したい、従業員数が中規模~大規模の企業に適しています。

 

一方で、Web上のサーバーを利用するクラウド型は、低コストで導入することができ、従業員数によって月額料金が変動します。

制度改正などでシステムのバージョンアップが必要な場合でも、自社で対応する手間がない点がメリットです。「なるべくコストを抑えたい」「社内でサーバー管理をする体制が整っていない」という小規模から中規模の企業に適しています。

 

健診代行サービスを選ぶポイント

健診代行サービスを選ぶポイント

健診代行サービスは、自社の課題や業務環境に適したサービスを選ぶことで、失敗のない運用ができます。健診代行サービス選びのポイントは、以下の3つです。

 

  • アウトソーシングできる範囲を確認する
  • 提携医療機関数が豊富か
  • 健診代行サービス以外のサポートが充実しているか

 

1.アウトソーシングできる範囲を確認する

自社のニーズに合ったサポートを受けられるよう、業務内容に応じて柔軟にカスタマイズできるサービスを選びましょう。

 

  • 紙の電子化、労基署への提出書類フォーマット作成などの対応が可能か
  • 健診予約に関する従業員からの問合せや変更に柔軟に対応してもらえるか
  • 医療機関との折衝で費用交渉だけでなく健診形態の指定なども依頼できるか

 

契約前に細かい業務範囲を明確にしておくことで、導入後のミスマッチを防げます。

 

2.提携医療機関数が豊富か

従業員が受診しやすいよう、提携する医療機関数をチェックします。複数の支社や事業所を有する企業では、全国各地の医療機関と提携しているサービスを選ぶと、すべての従業員が通いやすいでしょう。具体的には、以下のポイントを確認することが大切です。

 

  • 各拠点の従業員が通いやすい立地に医療機関があるか
  • 巡回健診の対応可能な医療機関が含まれているか

 

3.健診代行サービス以外のサポートが充実しているか

健診業務の効率化に加え、健康経営推進を目指す場合は、健診代行サービスとあわせて、以下のようなサービスも提供しているかどうか確認しましょう。

 

  • 健康診断結果を踏まえた事後対応のサポート
  • ストレスチェックやエンゲージメントサーベイなどの多角的な健康状態の把握
  • 健康経営優良法人取得に向けたコンサルティング など

 

株式会社エムステージの健診代行サービスが選ばれる3つの理由

 

株式会社エムステージが提供する健診予約代行サービスは、企業健診に関わるほぼすべての業務を網羅的にサポート。

健康診断の予約・手配、結果集約や清算代行まで、ご要望にあわせて、オーダーメイドで健康診断業務の代行をします。

 

1.課題にあわせて必要な業務をアウトソーシング

  • 対象者の抽出と名簿作成
  • 医療機関選定・交渉
  • 予約・変更手続き
  • 受診者へ健診日時通知
  • 受診状況管理
  • 受診促進
  • 未受診者の再手配

 

各受診者の希望の医療機関・日程などの情報を取りまとめ、ご要望に沿ったかたちで健康診断の予約を手配します。各事業場の医療機関の選定はもちろん、補助対象外の方の受診料金の交渉や、安価で受診できる健診機関の選定も可能です。

 

2.結果集約・清算代行まで、きめ細やかなフォロー

  • 未受診者抽出
  • 再検査対象者名簿作成
  • 請求・支払処理
  • 健診結果報告書集約
  • 健診結果PDF納品

 

社内用控えの結果票を取りまとめ、受診確認及び未受診者への受診勧奨を行うため、受診率向上も期待できます。

また、各医療機関からの請求書を取りまとめ、支払いを代行します。

 

3.全国どこでも産業保健活動のトータルサポートが可能

健康診断結果を効果的に活かすためには、総合的な健康経営体制の整備が不可欠です。

株式会社エムステージでは、健康診断代行の他にも、産業医の選任、ストレスチェック、研修など、産業保健活動のサービスをトータルでサポート。

健康診断結果やストレスチェック結果を一元管理できる、健康管理システム「HealthCore」なら、健康管理の進捗状況やハイリスク者を見える化します。

複合的なデータの活用で、健康経営の推進に貢献。全国各地の事業場のお悩みを一括でご依頼いただけますので、お気軽にご相談ください。

 

お問合せをする

 

※健康診断予約代行サービスはエムステージグループ企業の株式会社ミライトとの直接契約になります。

※HealthCoreは、株式会社ヒューマネージが運営・開発、株式会社エムステージが販売する健康管理システムです。

※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

 

この記事の著者

片桐はじめ

片桐はじめ

(公認心理師・臨床心理士)
精神科病院、心療内科クリニックの心理職として、精神疾患を抱える方や働く人のカウンセリングや心理療法等に従事。
現職の経験を活かし、メンタルヘルス・産業保健領域でのWebライター、インタビューライターとして活動中。