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【Q&A】労災の申請手順と、人事が対応するときに知っておきたいこと7つ

(更新:

サンポナビ編集部

仕事中「けが」や「病気」になってしまった場合には、労災保険によって補償がされますが、従業員から労災の申請があったとき、人事はどのように対応すればよいのでしょうか。

 

7問のQ&Aで確認しておきましょう。

 

労働災害の種類と労災認定されないケースを確認する

 

Q1:労災にはどんな種類があるの?

A:労災として補償される災害には「業務災害」と「通勤災害」があります。

 

業務災害とは、仕事が原因で起こった「けが(業務上の負傷)」や「病気(業務上の疾病)」のことです。

 

仕事中に発生したけがや病気は、特段の事情がない限り業務災害として認められます。

 

また、通勤災害とは、通勤時のけがや病気が対象となる労災です。

 

●「通勤災害」労災認定については過去の記事に詳しく書かれています。

 

【社労士が解説】事例で見る「通勤災害」~自転車通勤・寄り道で事故に遭ったら労災になる?

 

Q2:仕事中のケガ・病気ならすべて「業務災害」になる?

A:業務災害として認められないケースもある。

 

仕事中のケガ(病気)は、特段の事情がない限り業務災害として認められるのですが、労災認定されないケースもあるのです。

 

では、その“特段の事情”とはどのようなものでしょうか?

 

以下で確認しておきましょう。

 

●業務災害として認められないケースとは?

 

①労働者が就業中に私用(私的行為)を行い、または業務を逸脱する恣意的行為をしていて、それが原因となって災害を被った場合

 

②労働者が故意に災害を発生させた場合

 

③労働者が個人的な恨みなどにより、第三者から暴行を受けて被災した場合

 

④地震、台風など天災地変によって被災した場合(ただし、事業場の立地条件や作業条件・作業環境などにより、天災地変に際して被害を被りやすい業務の事情がある時は業務災害と認められます。

出典:厚生労働省「労災保険給付の概要」

 

 

「労災指定病院の受診」と「健康保険証は使わない」鉄則がある

 

Q3:労災が起こったら、どこの病院に行けばいい?

A:労災指定病院の受診をおすすめします。

 

次に、労災申請(請求)の流れについて確認しておきましょう。

 

仕事中にけが(病気)をしてしまった場合には、まず医療機関で診察を受けることが一般的です。

 

その際には「労災指定病院」を受診しましょう。

 

労災指定病院を受診する理由として、受診時に治療費を支払わなくて済むことが挙げられます。

 

また、例えば労災指定病院ではない医療機関を受診した場合、医療費の請求手続きを自ら行わなければなりません。

 

●労災指定病院は厚生労働省のホームページにて検索することができます。

厚生労働省:「労災保険指定医療機関検索のページ

 

Q4:健康保険証を使って労災の診察を受けてしまった場合、どうすればいい?

A:健康保険から労働保険へ切り替えの手続きが必要になります。

 

労災で病院に行き、診察を受けた場合には健康保険証を使わないことが鉄則です。

 

その理由は、労災保険と健康保険を“二重で使うことができない”からです(仕事上のケガ・病気は労働保険で補償されます)。

 

そして、健康保険証で一度診察を受けてしまうと、労災保険に切り替えることはかなり大変です。

 

念のため、手順を記載しておきます。

 

●健康保険から労働保険への切り替え手順

 

①健康保険組合に事情を説明する。

 

②健康保険組合から送られてきた納付書で医療費(7割分)を返納する。

 

③所轄の労働基準監督署へ請求する。

 

④労働基準監督署から負担分全額が支給される。

参考:東京都医師会「産業医の手引き」

 

人事担当者が知っておきたい労災申請のポイント

 

 

Q5:労災が起きたら、企業の担当者は何をすればいい?

A:所轄の労働基準監督署へ連絡・報告を行ってください。

 

労働災害が発生してしまった場合、死亡や重大な災害であれば直ちに労働基準監督署へ電話連絡してください。

 

そして「労働者死傷病報告書」を作成し、提出する必要があります。

 

「労働者死傷病報告書」の作成・提出に関しては厚生労働省のホームページにてくわしく解説されていますので確認しておきましょう。

 

なお、へ「労働者死傷病報告書」等、労働基準監督署への報告を怠ると「労災かくし」という犯罪行為となりますので十分注意してください。

 

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Q6:労災保険の申請(請求)書類はどうやって用意する?

A:労災の申請書式は、労働基準監督署・厚生労働省のホームページにて入手可能。

 

労災が発生し、従業員が医療機関を受診したら、労働保険の請求内容に対して証明を行います。

また、労災保険の申請様式を作成し、労働基準監督署に提出します。

出典:厚生労働省「療養(補償)給付の請求手続」より

 

一般的に、労災であれば「様式第5号」が対応しており、通勤災害では「様式第16号」が対応していますが、その様式が対応しているかについても厚生労働省のホームページでチェックしておきます。

 

各様式については労働基準監督署に設置してあるほか、フォーマットが厚生労働省のホームページでダウンロードすることができますので、記入事項などを確認しておきましょう。

 

●以下のリンクにて労災申請の様式がダウンロードできます。

 

厚生労働省「労災保険給付関係請求書等ダウンロード

 

Q7:労災対策で、人事部門が日頃から準備しておくことはありますか?

A:産業医などと連携し、健康意識の向上や事故防止の意識を従業員と共有しておくことが大切です。

 

いざ、労災が発生した際に、適切な対応ができるよう準備しておくことが重要です。

 

人事部門などの労災請求に関係する部署では、最寄りの労災指定病院を把握しておくことや、従業員にもあらかじめ周知しておくことが有効です。

 

そして、産業医などの専門家と連携し、日頃から職場のヘルスリテラシーを向上させることや、労災を防ぐ取組みを行っていきましょう。

 

そのためには、衛生委員会や衛生講話で産業医と連携し、万全の体制を整えておくことが大切になります。

参考:厚生労働省「療養(補償)給付の請求手続」​​​​​​​

 

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