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リワークとは?プログラム内容やリワーク施設の種類について解説

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リワークとは?プログラム内容やリワーク施設の種類について解説

(更新:2025/11/20)

サンポナビ編集部

働く現場におけるメンタルヘルス不調対策は、喫緊の課題になっています。

 

中でも、メンタルヘルス不調を原因とした休職については、復職後の再休職や退職といった悩みを抱えている従業員・企業も少なくないと考えられます。

 

本記事では「リワークって何?」といった部分から、リワーク施設での活動内容・料金といったテーマを紹介しています。

 

 

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リワークとは?

 

リワークとは、リハビリを通じて職場復帰(復職)を目指すこと、あるいはそのプログラムのことです。

リワークとは「Return to work」の略語であり、うつ病をはじめとした何等かの病気で休職している従業員に対し、職場復帰を促す活動を指します。

また、リワークプログラムを受けることで、職場復帰後の定着率を向上することも期待できます。

 

リワークの方法はさまざまですが、一般的には休職中の従業員等が医療機関やリワーク施設へ通い、専門のプログラムを受けることで、復職(場合によっては再就職)を目指すものです。

 

リワークが重要視される背景

現代の労働環境は、長時間労働や人手不足、働き方改革といった大きな変化に直面し、メンタル不調による休職者が増加しています。

 

厚生労働省の「令和6年度 労働安全衛生調査(実態調査)」によれば、過去1年間で10.2%の事業所においてメンタルヘルス不調による休職者(連続1か月以上休業)が発生しています。

 

メンタルヘルス不調を原因とした退職も含めると、その数は12.8%にもなります。これはあくまでメンタルヘルス不調が判明している数であり、不調の事実を伝えずに退職したケースは含まないため、実際にはさらに多くのメンタルヘルス不調者がいる可能性があります。

 

また、うつ病は再発する可能性が高く、その再発率はおよそ60%といわれています。

そのため、せっかく復職をしてもすぐに再休職あるいは退職に至るケースも少なくありません。

これは、従業員が治療とキャリア形成に再びダメージを負うだけでなく、企業にとっても採用・育成コストの損失や業務への影響といった大きなダメージとなっています。

 

リワークを通じ、適切なプログラムを経てから復職することで、こうしたリスクを低減できることが見込めるため、近年では大きな注目を浴びているのです。

 

「令和6年労働安全衛生調査(実態調査)」(厚生労働省)、「職場復帰のガイダンス(働く方へ)」(こころの耳)、を編集して作成

 

リワークはどこの機関・施設で受けることができる? 費用負担は?

 

リワークを受けられる場所は、主に以下の4種類です。休職者は、自身の健康状態や目標に合わせて、専門家と相談しながら選択することが重要です。

 

①医療リワーク(医療機関)

精神科や心療内科などの医療機関が提供する医療リワークは、投薬などの治療を行いながら、主治医や専門の医療スタッフ(看護師、作業療法士、公認心理師など)が中心となり実施します。

病状がまだ完全に安定していない初期段階からでも、治療の経過を最優先しながらプログラムを開始できるため、安心して復職準備を進められます。

 

<費用>健康保険が適用されます(原則1~3割負担)。条件を満たせば、自立支援医療制度などの活用により、自己負担がさらに軽減される可能性があります。

 

 

②職リハリワーク(地域障害者職業センター)

全国47都道府県に設置されている地域障害者職業センター(独立行政法人)では、職業リハビリテーションに特化し、実践的な作業能力の回復支援を行います。

精神障害(うつ病、適応障害など)で休職中の方々も支援対象に含まれます。

 

各都道府県に1~2カ所しかないため受け入れ人数に限りがあり、入所待機が発生しやすい傾向がありますが、復職後の安定就労に向けた客観的な評価や訓練を受けたい場合に有効です。公務員は原則として利用できません。

 

<費用>利用者は無料です。国の雇用・労働政策の一環として行われる公的サービスであり、主に雇用保険の財源などから賄われています。

 

 

③職場リワーク(企業)

企業内の産業医や産業保健師などの専門職が中心となり、自社内でリワークを実施します。試し出勤制度などを活用し、復職後も安定した就労が可能かを見極めます。

企業と本人、主治医が連携するため、元の職場へのスムーズな復帰や環境調整が行いやすいのがメリットです。

 

<費用>企業が費用を負担するため、自己負担は基本的にありません。

 

 

④福祉リワーク(就労移行支援事業など)

民間の就労移行支援事業所などが提供する福祉リワークは、休職者のみでなく、すでに退職をしていて再就職を目指す方も利用可能な点が特徴です。

 

生活リズムの改善やコミュニケーションスキル向上など、生活基盤の安定に重点を置いた支援を行います。

 

再休職を防ぐための定着支援までサポートが充実している施設も多く、比較的長い期間をかけてじっくりと復帰準備を進めたい場合に適しています。

 

<費用>福祉サービス(就労移行支援など)の枠組みであり、自治体からの給付金や助成制度の対象となるため、多くの方が実質無料で利用できます。

 

 

支援制度を利用するには、書類申請や医師の判断が必須です。スムーズに手続きを進めるためにも、早めに情報収集を行い、関係機関に相談をしましょう。

 

 

リワーク施設へ通う期間・頻度はどれくらい?

 

リワーク施設へ通う期間は、提供する施設の種類、個人の健康状態や回復状況、そして最終的な復職目標によって大きく異なりますが、一般的には3ヶ月から6ヶ月程度が目安とされます。

休職前の「週5日、フルタイム」で働ける状態に戻すことを目標に、段階的に通所頻度の負荷を上げていきます。

 

初期(体調回復期) まずは週2~3回、午前中のみ(2~3時間)など、短時間から無理のない範囲でスタートします。
中期(本格訓練期) 週3~5回、午前・午後を通し(4~6時間)など、徐々に時間を延ばし、集中力や持続力を職場レベルに近づけていきます。
後期(最終調整期) 週5回、会社と同じ時間帯(フルタイムまたはそれに近い時間)で通所し、復職後のリズムを定着させます。

 

 

リワーク施設では、復職に向けてどんな活動をするの?

 

リワークを達成するために、医療機関やリワーク施設などで実施する具体的なプログラムのことを「リワークプログラム」といいます。

施設ごとにプログラム内容は異なるものの、心身の回復と職場適応を目指し、一般的には以下のようなステップで構成がされています。

 

STEP1:生活基盤と体調を整える

作業療法やリラクゼーション、軽い運動などを通じて、規則的な生活習慣の確立と、活動に必要な体力・集中力の回復を目指します。

毎日の活動内容、気分、体調を記録し、自己の健康状態を客観的に把握する能力(セルフモニタリング)の基礎を養います。

 

STEP2:セルフマネジメントを身につける

認知行動療法で不安やマイナス思考のパターンを客観的にとらえ、前向きな行動へ転換する方法を学んだり、グループワークや対人スキル訓練を通じて職場で必要なチームワークや応対力を養います。

ストレスコントロールなどのセルフケアを身に着けることを目的とし、職場での孤立感を減らし、環境に適応しやすい基盤を作ります。

 

STEP3:復帰に向けた最終調整

職場復帰に向けて、模擬出勤や会議のロールプレイなどを通じて、実際の働き方を体感しながらリハビリを進めます。

再発防止策や職場内でのセルフマネジメント、時間管理など、長期就労に役立つ具体的なノウハウを就労講座で習得します。

 

また、プログラム中には定期的な面談を実施し、個々の従業員に合わせて職場復帰に向けたプランの見直しなどを行います。

 

 

リワークを利用するまでの流れ

 

リワークの利用を開始するには、専門家への相談、関係機関との連携などが欠かせません。効果的なリワークにするために、以下のポイントを抑えましょう。

 

1. 相談・判断(リワークの必要性の客観的判断)

まずは、主治医や産業医などの専門家へ相談し、リワークが必要な段階にあるか、またプログラムへの参加が適切かを医学的・客観的に判断してもらいます。

 

2. 情報収集と連携・調整

主治医、施設、そして企業の人事担当者や産業医と連絡を取り、リワーク利用にあたって必要な情報共有を行います。リワークの期間や、職場復帰の判断基準をどのように設定するかなど、復職計画を立てる必要があります。

 

3. 利用開始前の準備

施設見学とカウンセリング:実際に施設を見学し、スタッフやプログラム内容との相性を確認します。初回の面談で、復職目標、経緯、現在の体調を総合的に考慮した個別プランを策定します。

プログラム決定: 通所スケジュールや具体的な訓練内容を決定し、無理のない範囲で参加を開始します。

 

 

【企業担当者向け】休職者フォローと復職後の支援

 

企業が休職者を適切に支援することは、単に法令を遵守するだけでなく、人材の再活用と長期的な生産性維持につながります。

 

1. 休職中の適切なフォロー

就業規則の確認:休職に入る際、企業担当者はまず就業規則を確認し、休職の期間、給与・賞与の扱い、社会保険の手続き、復職の要件や流れなどについて正確に把握します。

 

就業規則の説明:就業規則を確認したら、休職者に誤解のないよう丁寧に説明しましょう。特に復職時期や復職後の条件に関わる点は、不安を与えないよう、書面も用いて明確に伝えます。


孤立防止と定期的な連絡:休職者が職場から孤立しないよう、定期的な連絡や面談の機会(連絡窓口を一本化し、ストレスにならない頻度・方法で行う)を設けることが重要です。


情報提供:復職支援制度に関する情報(リハビリ出勤の実施、産業医面談のスケジュールなど)を、回復状況に合わせて提供します。休職期間中の会社の制度変更や異動など、復職後に影響を与える可能性のある重要な情報や、職場の一般的な状況などを、休職者の負担にならない範囲で必要に応じて提供し、職場とのつながりを維持します。

 

 

2. 復職後の継続的なサポート

業務量の調整:復職後しばらくは業務量や難易度を段階的に調整し、急激な負荷がかからないように配慮します(試し出勤制度の活用なども有効です)。

 

サポート体制の整備直属の上司だけでなく、産業医や産業保健師、人事担当者などを含む多職種連携のサポート体制を整備します。

 

定着支援定期的な面談を通じて、本人の適応状況やストレスレベルをモニタリングし続けます。

 

これらの継続的な支援は、メンタルヘルスケアが根付いた働き続けやすい企業文化の形成にも寄与します。

 

リワークトレーニングをオンラインで実施「WellcoHR」

 

WellcoHR は従業員の復職支援を適切なフローで実施、管理ができる復職支援マネジメントシステムです。

休職者との定期コンタクトや健康状態の把握、診断書等の情報管理を一元化します。

さらに、全国の休職中の従業員を対象に、オンラインにてリワークトレーニングの実施が可能。手探りだった復職支援を、厚生労働省が推奨する適切なフローに導きます。

 

従業員の再発防止、パフォーマンス向上、休職の長期化防止などのより適切な復職判定材料としても効果的です。お気軽にお問合せください。

 

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サンポナビ編集部

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